Taka

この世界の(さらにいくつもの)片隅にのTakaのレビュー・感想・評価

4.9
「この世界の片隅に」から3年。多くの新カットを加え、3時間もの長尺で帰ってきた。しかも、その中には新たなる視点、新たなる発見を添えて。
2016年のオリジナル版ももちろん劇場(今回も同じく伏見ミリオン座で観ました。場所変わってるけど…)で観ています。アニメーション映画としてもトップレベルだし、‪戦争という影の中で生きていくすずさんの姿を通して戦争を描くという戦争映画としてすごく見たかった作品で自分としては完璧な作品だったのです。
でも、それでもあの作品には描ききれなかった部分がある。それを詰め込んだのが本作だ。リンさんとの関係はもちろんのこと、‪周作さんや水原さんといったキャラとの関係もより深く描かれている。‬そして、そんな世界の片隅に生きていたすずさんが呉へ嫁ぎ、生きることの難しさ、辛さに直面することがより濃密に描かれている。‬ ‪いろんなことを言われて、いろんな出来事に直面する…そこにはいろんな人と繋がっている。オリジナル版を観て何となく感じた部分ではあったが、何回も観た、そして3時間もの時間を費やしたことによって、戦争映画という分類には収まりきらない今、生きてる我々にも通ずるメッセージが見えてきた気がした。‬これこそが本作で本当に伝えたかったことなんだと。戦争映画でもあるけど、すずやリンが昭和の戦争という時代に出会い、ともに生きてきた…たぶん、どの時代であってもこの関係って揺るがないように感じた。‬
‪キャラにさらに深みを持たせたことにより、より深い作品になっている。ただでさえ完璧な作品をさらに完璧な作品に仕上げたこと、やはりこの作品の持つ力は大きい…‬
‪3時間はさすがに長くは感じたけど、それでもオリジナルアニメ版同様、心に深く残る作品です。‬
‪ぜひとも、2016年版を観た人も初めて観る人も観て欲しい。これこそが「この世界の片隅に」なのです。‬
Taka

Taka