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映画 としまえんのhorahukiのレビュー・感想・評価

映画 としまえん(2019年製作の映画)
3.3
都市伝説「としまえんの呪い」をふざけてやってみたら、遊園地からマジで帰れなくなって1人ずつ消されてくアイドルホラー。

9割のシーンを「としまえん」で実際に撮影したという話題性がありそうな作品でありながら、『ラ・ヨローナ』『オーヴァーロード』と同日公開な上に上映館数も少な過ぎなので、ホラー好きからもスルーされそうな可哀想な作品ですが、割と楽しく見れました。

やったら呪われる3つのことがあって、それをやると「秘密の場所」に行って帰れなくなるというのが「としまえんの呪い」のようです。そんで、もしやっちゃったらメリーゴーランドに乗れば助かるという回避方法つきなところは都市伝説の定型といった感じ。

ただ、能動的な行動を起点とするはずの都市伝説でありながら、本作の呪いの起点はより早い時点において設定されており、しかも受動的なものとなっている。それはとあるものを受け取るという行為。この受け取るという行為は「受容」へと繋がり、彼女が心の中で意図的に見て見ぬ振りをしてきた自身の弱さと向き合い「贖罪」をすることを受け入れることを意味し、本作はその過程を描く作品だということを印象付ける。

留学という新天地への旅立ちを控えた彼女にとって、心の中で燻っている「過去」を清算することは自身のこれからの未来に向けて必要な行為。だからこそ無意識化において出発前のこの時期に彼女は清算を受け入れたのでしょう。本作の描く「秘密の場所」というのは彼女の心象世界であり、通過儀礼をひとつずつクリアしていくことが心の扉を紐解くことへと繋がり、その奥底に閉じ込めた「過ち」を認め、自身と向き合うための舞台だったことに気づかされていく。だからこそメリーゴーランドが回避方法として提示されていたわけです。

ただ、せっかくとしまえんの全面協力のもと撮影されたのに、表面上でしか活かせていなかったのは残念でした。というより舞台として無理矢理当てはめてるだけになってしまってる気が…。遊園地の各アトラクションってそれぞれに特徴があるわけだし、歴史のあるとしまえんだからこそ為し得るような意味合いを持たせたお話にしないとせっかくの舞台が台無しなような。ミラーハウスとかホラー的に最高な舞台だと思うんだけど…。もうちょっと丁寧にやって欲しかったな〜。バイキングの揺れという日常動作だけで不穏感高める映像は良かったのだけど…。

それと、呪い発動要件ってドア3回ノックだったと思うんだけど、4回ノックしてたよね?3回以上ってことだろうから別に良いんだろうけど、3回って情報を提示してるわけだから素直に3回にしとけば良かったのでは。。。まあ、どうでも良いことなんだけどね。
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