すいか

ある画家の数奇な運命のすいかのレビュー・感想・評価

ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)
4.4
結婚相手の父親が元ナチ高官であり、優生思想のもと行われていた断種と安楽死政策に加担していた医者で、慕っていた叔母を死に追いやった人物だった…
予告編を観て、サスペンス?復讐劇?辛い作品なのだろうか…と色々想像を巡らせていて、観るのを迷っていた。
けれど、皆さんのレビューを読んでいると、どれも当てはまらなさそうで、すごく評価が高い!
観に行くことにした。上映終了1日前に滑り込みで鑑賞できた。
観てよかった!冒頭のバスのシーンで、一気に引き込まれ、長尺にも関わらずダレずに楽しめた。

主人公クルトが、第二次世界大戦を経て青年となり、東西冷戦下、芸術家を志す中で大切な友人や恋人と出会い、愛し、自分にとっての「表現」を模索する中で苦しみ迷う。
同時並行的に、恋人の父、カールの人生が描かれる。ナチ高官として何を考え何をしたのか、戦後はどのように生きたのか。
ナチスが行ったことには吐き気がするし、カールの言動はすごく不愉快だし、共感なんて全くできない。けれどカールみたいな人生を送る人もいて、どこでどう縁が繋がるかわからない。そんな人生の不思議を観た気分だった。

ラストシーン。
今を生きるクルトは、かつての叔母との思い出だけでなくて、叔母が感じていた世界そのものを、体験したのだろうか。
幸せそうな表情が、心に残った。
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