前々から気になりつつもなかなか観る機会がなかったところ、アカデミー賞監督賞及び外国語映画賞受賞を記念して劇場公開。劇場で観れてよかった…自宅だったら生活音を意識しなかっただろうし、背後から声が聞こえることもなかった。
1971年のメキシコシティに住む白人富裕層の家族を先住民の若い家政婦の目を通して描いた、アルフォンソ・キュアロン監督の実際の思い出要素も含んだ作品。淡々と描かれるモノクロームの映像は、監督の記憶を覗いてるような気持ちに。
個人的な物語に当時のメキシコの情勢を重ねたストーリーがここまで高い評価を得るのは、極東のアジア人には気づかない政治的背景もあるやもですが、私的にはメキシコ版『この世界の片隅に』のような、揺れ動く情勢と市井の人を描いたふうに感じました。(思い返せば結構共通点がある…)
裕福そうだけど微妙に散らかり、飼い犬のフンがガレージのそこらに落ちてる家は、あの家族の問題を指摘しているようだった。誰もできなかった武術の師のポーズを妊婦のクレオだけができたことも、人生に振り回されつつも肝の座った彼女の人格を現してるようにも。
というかクレオ役の女優さん、最初の少女のような表情から徐々に泰然としてくるの凄くよかったんだけど、オスカーかすってないですよね確か…
(追記:ノミネートされてましたね!失礼しました)
これ観て「女性は強い」と思われる方もいるかもだけど、強くなる必要があったんだよと。
生きてたら失うものはあるけれど、出会えるものもある。ポスターになってるシーンではやはり泣いてしまいましたね…ネトフリで既に観た方もできたら劇場で観てほしいです。