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スレンダーマン 奴を見たら、終わりのhorahukiのレビュー・感想・評価

2.7
ハビエルボテットvsダグジョーンズ!
本作でスレンダーマンを演じているのが2m超えの身長を誇るハビエルボテットなのですが、一昨年の公開作『スレンダー長身の怪人』ではダグジョーンズが演じており、長身怪優対決となっているのが面白いところ。

ビジュアル的には完全にハビエルボテットの方が良かったんだけど、内容的には『スレンダー』の方が遥かに面白かった。関係性崩壊のメタファーとして、そして監視者として怪人を配置した『スレンダー』。それに対して、本作はネットに転がってるくだらない情報に踊らされることをウイルスに感染する(=洗脳される)ことと捉えたり、若者にとっての家庭と上京・夢について匂わせたりしつつも特に深入りはしないライトな作品といった感じ。あくまでティーン向け。怪人が監視者なのは一緒だけど。

そもそも『スレンダー』の方は勝手にスレンダーマンを思わせる邦題をつけられてるだけで、原題の意味が非常に重要な上に、怪人には別の名前がある。だから同じ題材として比べるのは間違っているのかもですが。

前半はティーン向けホラーとしてかなり優秀だったと思います。特に森を捉えた映像が非常に印象的に用いられ、上質な雰囲気が漂っていた。鳥のさえずりと夜明けで明るみ始めた森を捉えたファーストカットが綺麗だし、屋内で異常を感じた際に行き着く闇の中での窓の外に広がる緑の森の迫ってくる感じも良かった。薄暗い森の中、ひしめき合う木々の間を見上げる映像、静と動を交互に挟み込む不安感の高め方や、繰り返される森の中の扉のイメージ等とても良かった。霧の中から浮かび上がる影や忍び寄るモヤ等も好きな演出。

ただ後半からが本当に酷い。パーツで細分化して見れば良いものが多いんだけど、ひとつの演出として見ると「何か変わったことをやってやろう」と頑張ったが故に大失敗してるような感じ。特に悪夢シーンなんて一個一個は良いのに何であんなに見せ方下手なの。。。前半の抑えたものと比べると演出した人が変わったのかと思ってしまうほどに酷かった。意図はわかるんだけどね…。水泳という夢に関してドローレス(冒頭でチラッと名前が出てくるだけのキャラ)と同様のことになる危機感を悪夢として描くことで、彼女の中での「恐怖」が変容したことを表現する必然性のある恐怖演出ではあるんだけど、さすがに唐突かな。

主人公を2人配置した脚本も空回りしてるし、スレンダーマンが象徴するものを考えると主要4人のバックグラウンドはもう少し描きこみが必要だったと思う。ただラスト近辺のビジュアルは凄く良かった。そしてこれまた恐怖シーンで主人公の心的変容を表現するものになっているのもうまい。

何であの人だけ信じようとしなかったのか、そしてその人の水泳に対する態度、家族に対する考え方は本作においては非常に重要な要素で、普遍的な事柄についての二項対立の中を揺れ動く主人公の心理を恐怖演出「のみ」で表現しようとした意欲作ではあるのですが、せっかく前半では手堅い演出で見せてくれていたのだから後半も奇をてらったものにせずに静かに語って欲しかった。何気にめちゃくちゃ高度なことを志してる作品なので、そうすればかなりの良作になってたかもなのに。本作では残念ながら志してるだけになっちゃってるんですよね。勿体無い作品。

今日OSOREZONEで『ダリオ・アルジェントのドラキュラ』見てたんだけど、画面の下5分の1くらいが画面の最上部にワープする謎現象が発生。キャラクターの足と字幕だけ上にあるという。しかもやたらと暗転するし。そんで10分くらいのとこでピタッと止まったから風呂沸かして洗い物して帰ってきてもまだ同じとこ。敢え無く視聴断念しました…(T . T)
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