翔海

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語の翔海のレビュー・感想・評価

4.0
偽りの自分をいつまで演じるつもり?

1869年、ニューヨークの下宿に住み込み教師として働くジョー・マーチの夢は小説家になること。書き上げた短編小説を自分で書いたことを隠して編集者のもとに持ってゆくと採用される。編集者からはこんなご時世だからハッピーエンドを読者は求めると注文を受ける。新たに書いた小説を友人の教授ベアに読んでもらうが、自分の作品に批判的な彼と絶交をしてしまう。そんな時に病気に苦しむ妹ベスの容態が悪くなり、ニューヨークを後にジョーはマサチューセッツ州のコンコードへ帰る。マーチ家は四姉妹であり、ジョーの姉メグはコンコードの近くに住み二人の子供と四人で暮らしている。末の妹エイミーは伯母と共にパリに住み、資産家との結婚を望んでいた。ある日、エイミーの元に子供の頃からの友人ローリーと再会を果たす。ローリーの家も裕福でありながらも行き方は自由であり、パリにも旅がてらに寄ったと話す。数年前までコンコードに住んでいたローリーはマーチ家との関係は深く、ジョーとローリーの間には友情以上のものがあった。しかし、ローリーがジョーにプロポーズをしたがジョーは断り、ニューヨークに旅立ってしまう。ジョーは今も昔も家族のために身を削っていた。自分の幸せは二の次にしていたが、ベスの死をキッカケにローリーからのプロポーズを断ったことへの後悔を覚える。しかし、エイミーとローリーは婚約を果たし、自分だけ取り残されてしまう。人生の岐路に立ったジョーは自分の姉妹のことを文字に書き始める。

何度もリメイクされている有名な【若草物語】。若草物語を見るのは今作が初めてであり、物語の内容を知らない状態で鑑賞した。今作は監督グレタ・ガーウィグ、キャストにシアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、ティモシー・シャラメなど豪華俳優陣の共演となった。劇場公開当初もかなり話題になっていたことを覚えている。見たい気持ちはあったが、若草物語を知らないという先入観から見るのを諦めていた。少し経ってから友人から勧められ、ふと思い出して見る機会ができた。グレタ・ガーウィグの作品はこれまでにレディバードや20センチュリーウーマンなど見たことあったが、今作は彼女らしさがありつつ若草物語をリメイクできてて、個人的には良いと思った。小説の運命も自分の運命も変えるのは自分の行動次第であり、何かを理由に逃げる日々から終わりを告げる勇気をくれた。

約1ヶ月映画を見ることができていなかった。予定とやることに押しつぶされそうな日々を過ごしていた。プレッシャーや不安で少し辛くなってきたから、映画でも見て一旦休憩を取ろうと思って見た作品。この作品のジョーは私よりも苦しい日々を過ごしていただろう。家族のためや自分の夢のために身を削って働いていた。そんな彼女の姿に勇気を貰えたし、少し気持ちも軽くなった。これから転職を考える以前よりも勉強をする時間や将来のことに考える時間が増えていった。そう言った不安は人生のどこかでみんな遭遇するだろう。私のタイミングは今なだけであって、それを乗り越えた先にある未来のために今が苦しいのだと思う。いま頑張れないものに明日はないと思って、日々頑張れている。前に見た映画にも人生はタイミングと機会だと教えられた。このチャンスを生かすのも殺すのも私次第。明日の自分に誇れる自分になれるよう頑張っていこう。
翔海

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