Jaya

ラ・ポワント・クールトのJayaのネタバレレビュー・内容・結末

ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

休暇でパリから地漁村のポワント・クールトに帰ってきたルイに別れを告げようと妻エルも来るけど愛が熟成するお話。要所でいい動きしまくりの猫たち。

全カットの衝撃的な美しさに見惚れるばかり。ぬるぬると素朴に動くカメラで僅かに滑稽味や諧謔を伴って村の人々と風景が映し出され、それが完璧なまでに調和していて、安心感と陶酔感を齎す。

虚実のバランスが最高な漁村の生活感。何の作業かよく分からないカットがいくつか。遠景の水上槍にポチャンと音を当てるのには痺れました。そっと踊りだすラファエルとアンナが美しすぎる。

一方で愛について談義するルイとエル。若い情熱ゆえの不安を抱えるエルながら最後には漁村の空気とルイに当てられて老成した愛の気付きに至ります。そもそもはルイの浮気が発端らしいが…。そしてダンス会場を通り抜ける2人。

2人の語りにありがちな説教臭さや衒いが一切ないのはそれだけの思索の深さが伴っているからのような。内容として漁村の人々の撮影との対比は明確ではないのに、ここまで映像を対比させるとは。

人間への「静かな愛」が溢れんばかりに満ち溢れた目線が感じられて、時間の短さも相俟って、まだ終わって欲しくないと心から思わされた傑作でした。
Jaya

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