翔海

グリーンブックの翔海のレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.2
「グリーンブック」
自動車で旅行するアフリカ系アメリカ人を対象に発行された旅行ガイドブック。

1962年のアメリカ。NYに暮らすトニーは妻と二人の息子をためにナイトクラブで用心棒として働く。腕っ節と巧妙な話術で人望を買われていた。そんなトニーの働くナイトクラブが改装工事のために職を失ってしまう。新しい仕事を探してる彼の元にアフリカ系アメリカ人ピアニストのドクター・シャーリーのツアーに帯同するドライバーの仕事の話が舞い込む。屈強で物怖じしない彼を見込んだドクター・シャーリーはツアーの期間だけ雇うことにする。トニーは妻と二人の子供にクリスマスまでには帰ってくると約束をして、アメリカ中西部ディープサウスを回る8週間のツアーに向かう。レコード会社から渡されたグリーンブックを持って車を走らせる。ツアーに向かうディープサウスは根強く黒人差別が残る地域。過酷な試練が彼らを待ち受ける。

古いしきたりと根強い黒人差別。
ディープサウスをツアーで回る二人だったが、性格も価値観も正反対で衝突ばかりであった。無学で自由気ままなトニーと多彩な才能と冷静な考えを持ったドクター・シャーリー。ツアーを回る中でドクター・シャーリーの演奏を聴いたトニーは次第に尊敬してゆく。ピアニストとして有名なドクター・シャーリーでもディープサウスでは黒人差別を受けることに。BARで袋叩きにされ、レストランには入れず、トイレすらも野外でするように言われる。これまで黒人差別してきたトニーだったが、彼の心にも変化が生まれてくる。差別を受ける度に感情的になるトニーを暴力は無意味だと宥めるドクター・シャーリー。黒人差別と戦った二人には友情が芽生えていた。

差別のない世界へ。
見た目から差別をしたり、性別からだったり、病気だったりと差別には色んな種類がある。頭の固い人間の考えだ。あなたはその人たちの何を知って差別をしているんだと。知りもしないで省くのはおかしくないのか。昔からの規則だったり、親からの教えかもしれない。だけど、狭い世界で暮らしているからそんな固執した考えになるんだろう。もっと広い視野と広い懐を持って人と接すれば差別とは無縁の世界が出来ると思う。

2019年アカデミー賞作品賞受賞作。
公開当初から絶賛の話題作であった。Netflixに追加されてからいつ見ようかと楽しみにしていた。やっとの思いで観たら予想を裏切らない作品であった。心温まるロードムービーと思いきや、要所要所に響く言葉や聞き惚れる音楽もあって最高の作品であった。ケンタッキー州に到着してトニーが一号店のKFCでフライドチキンを買ってドクター・シャーリーが初めて食べるシーンはとても良かった。トニーから初めて教わるドクター・シャーリーの姿は楽しげで友情を感じた。そして、無性にケンタッキーのフライドチキンが食べたくなった。
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