にくそん

海底47m 古代マヤの死の迷宮のにくそんのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

サメが出てくるたびに座席の上でびくっとした。同じ列に誰も座ってなくてよかった。自分も海底に潜り込んだ一人になったかのような一人称っぽいカメラワークで、心拍が上がる上がる。怖かった。

安全圏まで逃げおおせたと思ったときや、頼りがいのありそうな男性が強い言葉を発したとき、横からザブン、ガブリと来る感じはサメものの王道。でも、振り返ったら後ろからついてきていたはずの仲間の下半身がもうなかった、みたいなキツい描写はないので、私みたいなビビリでもまだ観られた。薄目になったりはしたけど。

音の使い方の上手い映画なのでodessa上映はぴったり。ぞっとするほど静かなときがあったり、地上と変わらないほがらかな音楽が不釣り合いに流れていたり、まがまがしいアラームが赤の点滅と共に鳴っていたり、スリル感すごい。

大物俳優の娘さんが二人出ているということで、その二人が生き残るんだとしたら、ちょっと嫌だなと思ったけど、彼女たちの役柄と父親の威光は関係なかったみたいで、そこも地味に評価できるポイントだった。

途中、恐怖のあまり、我先に助かろうとする子が出てくるものの、基本的には女子高生4人組は善良な子たちで、厳しい境遇になったからといって闇落ちすることもなく、友情もほぼ揺るがないところが好き。むしろ絆が急激に強まる場面もあって、ぐっとくる。

エンドロールの最後にいきなり「サメに襲われて死ぬ人間は年に10人もいない」「人間が殺すサメの数は年間1億匹」って注釈が入って、これはなんかこなれてなさすぎて嫌だった。自分たちだってサメパニック映画を面白おかしく撮って金儲けをしているのに、まるで他人事みたいに、サメの凶悪イメージ作った人ひどいよねー、怖いのはサメより人間じゃーん、と言いたげで。それを言うぐらいなら劇中でフォローしてほしい。サメが怯えて攻撃しているとか、もともとそんな習性はないのに人間を襲うのはこんな理由だとか、さらっとでも描けばよかったのでは。日本の熊パニック漫画はだいたいそういうの入れてるよ。
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