このレビューはネタバレを含みます
ノヴォロシア両国独立宣言後のドンバスの日常を映すドキュメンタリー風映画。イクラってロシア語だったのか…!
次々と繋がりを見せながら展開される13の短いエピソード。ところどころ諧謔を以て描かれるドンバスの住民、というかそれに象徴される現状。
独立勢力軍の横暴さや放埒さなど、どこまでリアリティがあるのか分かりませんが、さほど事実は遠くない気に。何より抜群の色味が寓話性と現実性の両方を担保するよう。ラストのフェイク人員射殺からの新たな円環は痛烈な皮肉でした。
ウクライナ語とロシア語が混用されているのだろうと思いますが、その細かな違いが齎す大きなニュアンスの違いがそこかしこにありそう。
戯画的な現実を映し出すことで、風刺とともに静かな反戦の意思が伝わる名作でした。