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愛は危険な香りのMOCOのレビュー・感想・評価

愛は危険な香り(1987年製作の映画)
2.0
「眠りを奪われ昼間も落ち着けない、外に出るのも怖い、でももう平気よ!
 あんたがもっとやる気ならわたしはここ(頭)で対抗してやる。あんたのいった創造力で戦うわ!
泣き寝入りなんかしない!」

『愛は危険な香り』(原題Lady Beware)には「愛」はありません。あるのは一方的な歪んだ「ストーカー行為」です。

 1979年デビューの「リトル・ロマンス」で脚光を浴びたダイアン・レインは1983年から84年にコッポラファミリーであるかのように「アウトサイダー」「ランブルフィッシュ」「コットンクラブ」と立て続けにコッポラ監督の作品に出演したのですが大きな人気を獲得することはありませんでした。
 1984年の「ストリート・オブ・ファイヤー」「コットンクラブ」の後、1987年に主演したのが「愛は危険な香り」です。
 日本の配給会社はダイアン・レインで儲けようと「ダイアン・レインの」と邦題に冠をつけた作品もあるくらい時の人だったのですが本国と同じく人気は下降しました。

 この頃のダイアン・レインは薄っぺらな印象で、どこか淫靡な感じがして好きになれませんでした。
 最近出演の多い「DCエクステンデッド・ユニバース」の映画を観ていると、もっと可愛らしい路線で売り出していたら今ごろは・・・と、思ってしまいます。


 カチア・ヤーノ(ダイアン・レイン)は、ホーン・デパートの社長に売り込み、ウィンドディスプレーの1つをまかされます。奇抜でエロティックなディスプレイは、飾り付けの行程から街の人に注目され、向かいのビルの病院でレントゲン技師をしている妻子ある男ジャック(マイケル・ウッズ)の目にも止まってしまいます。

 カチアは尾行され、アパートの部屋を突き止められると覗き見され、さらに電話番号を収得され、電話が掛かってくるようになります。ある日外出中の家に入り込まれ風呂や歯ブラシ、ベッドを使われ、部屋の中で帰宅を待たれてしまいます。

 カチアはウィンドディスプレーの取材に来た雑誌記者マック(コター・スミス)といつしか恋におち、その日カチアの部屋で愛し合うのですが(愛し合えたのかは不明瞭でとにかくヌードの披露があります)部屋に不審者の気配を感じ恐怖で身動きがとれなくなったところをマックに部屋から連れ出され危機を逃れます。
 警察に被害届を出し侵入可能な非常階段横の窓に鉄格子をつけるのですが、今度はアパートの屋上からロープを垂らし別の窓から侵入され部屋を荒らされ鏡に血で「LOVE」と落書きされることになり全ての窓に鉄格子をつけます。
 留守録付きの電話機を購入して電話番号を変えても電話は掛かってくるためノイローゼ状態のカチアは男からの電話に応答し、話し合いに出かけるのですが「いままでは前戯だ、本番はこれからだよ。これで終わりどころか俺は好きなときにお前の心と体をいただく・・・」と凄まれてしまいます。
 カチアは男が以前、部屋に残したメッセージがレントゲン写真に書かれていたことを思いだし、写真の中に患者の名前を見つけレントゲン技師ジャックが犯人であることを突き止めます。

 カチアはジャックの勤務中にジャックの自宅を訪れ、奥さんの目の前でジャックの仕事場に電話を掛けます、カチアに卑猥な言葉を投げ掛けるジャックに奥さんは悲鳴をあげて電話を切ります。

 ジャックが慌てて帰宅するとジャックの顔写真に変質者と書かれたチラシが家だけではなく付近の至るところに貼り付けてあり、家に家族は居ませんでした。カチアはそこに電話を掛け「今度のウインドはあなたがテーマよ」と一方的に電話を切ります。

 夜間にディスプレーの仕事をするであろうカチアを狙ってジャックは閉店前のデパートに身を潜めます。一度はジャックに捕まってしまうカチアですが、犬笛で警備犬を呼びショーウインドの小部屋にジャックを閉じ込めます。ショーウインドから出ることのできないジャックの元に警察が現れジャックは逮捕され映画は終わります。


 映画の着眼は面白く、スリリングなのですが、歯ブラシに唾液を残したり、鏡に自分の血でメッセージしたり、留守番電話に声を残したり、待ち合わせ場所にオープンカーの自家用車で現れたりと、物証を残し過ぎるのに解決の糸口にならない展開。
 後半全く登場しない雑誌記者の恋人。
 家宅侵入された時の一回しか登場してこない警察。
 ほったらかしにされるジャックの家族。
・・・と、とにかくお粗末な作りなのです。「ダイアン・レインを脱がせることで集客を読んでいた」としか言い様のない残念な映画です。

『ストリート・オブ・ファイヤー』のレビューで触れた映画なので書いてみました。
 ダイアン・レインの人気が下降して、脱がざるを得なかったのか、ダイアン・レインのヌード披露で話題になった貴重なコレクション映画です。
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