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ジョーカーのRのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.9
うおおおおおお!!! 爆発的に話題になったの深く納得の素晴らしい出来! めちゃめちゃ面白かった!!! ストーリーも面白かったけど、ボクとしては映像と音楽がたまらなく好み。ゴッサムシティーてかニューヨークですねこれは。街のすさんだ雰囲気が素晴らしく、黄や青っぽい光に照らされたダークな街並み、アパートへとつながる長い階段、建物の中の荒れ果てた雰囲気、ひとつひとつの画にモダンアートの趣が息づいていた。そして、異様な緊張感を満々に孕んだ、おもーくてあやしい音楽。ステキです。そんななか、骸骨のような見た目の、心を病んだ主人公アーサーが、自らの宿命と抗いようのない運命によって、恐ろしい勢いで妄想と不幸の奈落へ落ち込んでいくプロセスが展開する。いつもハッピーに振る舞うように、との母の幼少期からの期待に応え、アーサーは常に他人の目を気にしている。にも関わらず、まさかの場面で突発的に大笑いをしてしまう精神病を患っており、カウンセリングに通って、向精神薬をのみまくってる。昼間は、ピエロ派遣会社で、歪んだ泣き笑いのピエロメイクをして、特売セールの看板を持って宣伝したり、入院中の子どもたちの慰問をしたり。仕事中にストリートチルドレンにボコボコにされて、倒れてる画面いっぱいに巨大な黄色い文字JOKERが出てくるオープニングで、私はもう喜びでシビれていた。精神的にも身体的にも病気の母の介護をしながら貧窮した生活をおくる彼は、スタンドアップコメディアンになることを夢見て、毎晩母とテレビを見ながら、憧れの人気コメディアン、マレーフランクリンの番組に出演する妄想を楽しんでいる。マレーを演じるのがロバートデニーロ。この人の無関心な愛想の良さと空虚な胡散臭さが最高で、テレビ番組に登場するシーンの両腕をクルクルと開く動きがボクにはドツボ。喜びすぎてひっくり返った。何度早戻しして見たことか! 妄想の中では楽しそうなアーサーだが、現実ではジリジリ不幸の闇の深奥へと押しやられていく。カウンセリングと薬の処方が打ち切りになり、仕事をクビになり、にっちもさっちもいかなくなった帰りの地下鉄、ガヤガヤからんできたヤッピー三人組に、とんでもないコトをしでかしてしまう! ワタシは絶句! あまりの出来事に絶句! すごいです、ここらへん以降、すべてのシーンで見せつけられる凄惨な負のエネルギーが、心だけでなく身体をまで冒してくるこの感じ。なぜか体が重い。グラビティに押しつぶされそう。こんな映画しばらく見たことがない。アーサーと一緒にボクもどんどんどんどん不幸になる。そして、あまりのどうしようもなさに身動きが取れなくなり、ギリギリで抑え込んでいたエネルギーが制御不可能になったとき、アーサーは自分の人生が実は喜劇のジョークだったと悟り、自分を開放し、解放し始める。という流れで、後半は心身共に、軽やかで、ウキウキ、楽しく、爽快な展開になっていきます。音楽はダークなままやけど。真の自分を外に押し出す気持ち良さがあふれている。階段を踊りながら楽しそうに降りていくシーンや、お面をかぶってるんるんで地下鉄を降りるシーンとか最高。好き! とりわけ、マレーフランクリンに関するクライマックスのシーンはもう気持ち良うて気持ち良うて白目剥いてピクピク身震いしながら何度も何度も何度も何度も繰り返し見てしまった。ほんで、いよいよカオスーーーーーーな展開のあと、まさかの、えええええええ!!! えええええええ!!! ちょっと待ちなよ! たしかに、ん?ん?ん?と思うシーンはいろいろあったが、どこまでが〇〇でどこまでが〇〇? きっと誰しもが抱くであろう疑問に、ボクも心奪われ、もっかい見て確かめたい衝動! まんまとジョーカーにしてやられました。そして、心にこびりついてはなれない、形容し難いこの余韻。いやー、これは、是非ともまた見たい。いろんな解釈ができる余地がたくさんあって、見る者がそれぞれの想像を膨らませていくことができる、とてもオープンな映画。ダディとかママとかGFとかモダンタイムスとかいろんな映画を彷彿させることとか、他にも語りたいこと多いけど、長くなるのでやめておきます。ただ最後にひとつ、見てていちばん強く感じたのは、やっぱ人間は、状況に左右されることなく、自由に、自分らしく、自分に正直に、自分の花を満開にして生きなければならないなぁ、ということです。あ、終わり頃になってようやく、あ、アイツ、バットマンやん、て気づきました。おっそ笑 Blu-ray購入を考慮したいと思います。
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