のん

長いお別れののんのレビュー・感想・評価

長いお別れ(2019年製作の映画)
4.1
つながらないって…切ないね


中野量太監督の『湯を沸かすほどの熱い愛』は予想の斜め上をいくびっくりなラストに目が点になった。

その監督の最新作となる『長いお別れ』は、タイトル通り認知症の父親と家族の長い長いお別れまでを丁寧に描いている。


劇中で繰り返し問われるのは「帰る場所」はどこか、ということ。竹内結子演じる姉妹の姉は海外暮らしにうまく馴染めず無意識に実家を「帰る場所」だと感じている。


蒼井優演じる妹は「帰る場所」をずっと探している。実家以外の「家族」を求めて彷徨っているが、なかなか場所は見つからない。


そんな彼女たちに山崎努演じる認知症の父親は、少しずつ進行していく病気のなかで、手がかりを残していく。3つの時間軸を上手く使った物語展開も秀逸だが、山崎の老いの演技もこれまた素晴らしい。



色んなものが遠くなっていき、やがてつながらなくなっていく父とその周りの人達の物語。派手さはないけど胸をうつ佳作と思う。
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