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ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREYのneroのレビュー・感想・評価

3.5
「Birds of Prey」っていうタイトルがまず最初のハードル。単数形なら『あーロミュランの宇宙船ね』ってスタトレ世代の自分は思っちゃうんだが、複数形の彼女たち”猛禽ちゃんズ”は馴染みもないし、本国での人気の程もわからない。だいたいメンバーころころ変わる割にあまり強烈なキャラクターはいないしね。(バットガールとかポイズン・アイビーが入ればだいぶ違うが基本立ち位置はビジランテだしなあ)

で映画は、このキレると怖い猛禽ちゃんズのグループ結成話ではあるんだが、各キャラの弱さもあって、ストーリーをメインでドライブするのはハートブレイクハーレイ姐ちゃん。プロデュースも自分でするあたりマーゴット・ロビーのイレコミっぷりがわかるってもんだ。
頻繁に時間軸をシャッフルする構成も、イラッとする直前ギリギリの変拍子感が出てて悪くない。トータルでもテンポはいいと思う。マスクしてると笑いも苦しいが、金属バット最強! (ついでにハーレイにグレネードランチャーって最高にマッチだわ)
なによりハーレイクイン1作目の「スーサイド・スクワッド」みたいな半端なモラル感を端っからふっとばしてるのは好感が持てる。でも、必要以上に♂VS♀の構図に持ち込もうとしているようで、ちょっとだけあざとい感じも・・・。

監督の持ち味なのか割にあっさり目の描写が多い。
クライマックスで女達が一堂に会するって演出はもっと盛り上げたいところだし、遊園地バトルももうちょっとキレがほしかった。ブラックキャナリーのミラクルボイス(古いねどうも、公式には「キャナリー・クライ」つうらしい)はなかなか笑えるが、もうちょっとタメと一歩突き抜けた表現がほしかったなあ。黒ずくめハントレスには浮世ハズレのおマヌケぶりをもっと強調したほうが良かったようにも感じるし、おばちゃん刑事レニー・モントーヤはよく知らないせいもあるがちょっとキャラ弱い。「パペット大騒査線 追憶の紫影」でのメリッサ・マッカーシーくらいのオゲレツ系でも良かったんじゃないかくらい思っちゃう。シモネタももっと振り切ってヨカ!

と、勝手なことばかりほざいてしまったが、ともあれキャシー・ヤン監督の今後は楽しみ。ディズニーにすっかり毒気抜かれたマーベルよりは期待できるかもしれん。DCEUのメインシリーズじゃなくスピンオフのほうでバリバリよろしく。
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