「バカだねー!」
愛を込めて彼らにこの言葉を送りたい。
とあるサークルの二次会。
大学生達のカラオケでのオール、そのグダグダを描く。
学生時代、何度となく味わった。
サークルの飲み会。
「もう終電ない」
「まだ元気なんだけど」
どちらかの台詞が8割くらいの確率で登場する、解散する流れのはずの飲み屋ビルのエントランス。
▷「3軒目行く?」
▷「カラオケ?」
▷「誰かの家行く?」
▷「部室で飲む?」
という安定の選択肢と
「ごめん終電ある」
「え?〇〇いない!帰った?!」
という騒動が付いて回る。
結果、
「オケ館行こ」
「え、カラ館でしょ」
「その略し方おかしいしょ」
「今からなら飲み放題4杯飲めばいいのか。いけるね」
という毎度のネタのやりとりをしながら、何度渋谷のカラオケ館にお世話になったことか。
こんな感じだったかなぁ、と思いつつも、心当たりがないわけではない。いや、ある。
「いたいた、こんな感じの人」
そんな人達がデフォルメされた姿で、どんどん修羅場を作り上げていく。
まぁまぁの人数で修羅場が訪れた時
・忍法 気配を消すの術
・魔法の言葉「ま、ね!うん!」
・「もしもし?」と真っ暗な画面の携帯を耳にあててドアを開ければ脱出出来ると思ってるらしい逃亡犯
・とりあえず包んでしまおうと風呂敷を広げてくれる人の風呂敷ほど破れてるあるある
・1番言ってはいけないワードを確実に口にする"真実の口"
・自分では決してその地雷は踏まないが"真実の口"に手を突っ込みたがる愉快犯
・地雷じゃなくてマキビシを巻いて全員の動きを封じ込める凶悪犯
まぁ十人十色である。
グダグダの雰囲気で始まったカラオケに限っては、オープニング・エンディングの選曲センスは結構大事だと思う。
飲み会で、しばらくの間トイレに籠城し(迷惑な話である)、もう大丈夫!と言いながら1番乗りした彼女が
「こみあげてくる〜」
(ドリカム『何度でも』)
と歌い出し全員の心を鷲掴みにして以降、そのメンバーでのカラオケの神曲になった事を思い出した。
この作品の彼らは泥酔していないので、偉い、とさえ思ってしまう。
エンドロールも終わり、一瞬暗くなった画面に写った自分の顔は見たことがない程に、半笑いであった。いやはや。
観た後の倦怠感は、始発の下り電車に座るあの感覚とも似ていた。