すいか

僕たちは希望という名の列車に乗ったのすいかのレビュー・感想・評価

4.2
ベルリンの壁ができる5年前の1956年、東ドイツの高校で、生徒たちがハンガリー動乱で亡くなった人々に捧げた黙祷を発端とした一連の出来事を描いている。最初から最後まで、静かだが強い緊張感が漂う作品だった。鑑賞後は、しばらく何も考えられなかった。
主人公である高校生たちの行動とか友情、親子の関わりにはもちろん心が動かされた。しかし、彼らの生きる環境のこと、どうしようもできない国家体制のこと…色々想像して考えると、心に重く響いてきた。
彼らの親世代は、さらに凄まじい時代を生きてきた世代。そこで生まれた悲しみや憎しみが、じわじわと子どもたちに伝わっている様子も描かれていて、いたたまれなかった。
私の勉強不足が大きいけれど、第二次世界大戦からその後の東西冷戦に至る不安定な時代には、知らないこのような不条理な出来事は山のようにあったのだろう。本作のような作品のおかげで、知らないままだったであろう出来事を認識し、そこに生きていた人々の生活や気持ちに思いを巡らせることができる。本当に観てよかった。
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