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ラブ&ドラッグのkomoのレビュー・感想・評価

ラブ&ドラッグ(2010年製作の映画)
4.1
女遊びが原因で失業したジェイミー(ジェイク・ギレンホール)は、医薬品の製造会社・ファイザーに再就職。営業先の病院でパーキンソン病を患うマギー(アン・ハサウェイ)に出逢う。いつもの遊びのつもりで彼女と寝るようになるジェイミーだったが、いつしか本気で彼女を愛するようになった自分に戸惑いを覚えていた。
やがてジェイミーはバイアグラの営業を成功させ、出世が目前となる。
そんな中、マギーと同じパーキンソン病の妻を持つ男性から「彼女とは別れた方がいい」という助言を聞かされて…。


大好きなジェイク・ギレンホールとアン・ハサウェイが過激で熱いカップルを魅力的に演じていました。二人とも清々とした脱ぎっぷりで本当にびっくり!
ラブコメと呼ぶにはなかなか重みのあるストーリーだったけれど、序盤におけるジェイミーの遊びっぷり&マギーとの性急なベッドインなどのシーンは、良い意味でコメディ的なテンポで楽しめました。
そこから次第にマギーの病気に重点が移って行き、すれちがいの物語になってゆく展開が切ないです。

恋愛やセックスの玄人でありながら、これまで一度も心の底から女性を愛したことがなかったジェイミー。
そんな彼が狼狽しながらマギーに本当の愛を告げるシーンは、ジェイクの演技にとことん魅せられました。
それに対するマギーのアンサーは、しばらく後のシーンでやってきます。部屋で二人きりの時に神妙に告白したジェイミーとは違い、白昼の街中でジェイミーに深い愛を告げるマギー。
こういったキャラクターの対称っぷりは、告白シーンに限らず、この映画全体の見応えとなっていました。

パーキンソン病が生活に与える影響を知り、進行する前に彼女を治そうと躍起になるジェイミー。
それは優しさであるはずなのに、マギーはそうは受け取れませんでした。
もちろん、病気は治るに越したことはない。けれども大切な人に「治れ、治せ」とばかり連呼されてつらくないわけはない。
もし自分が病気になったとして、自分の身内から同じことを言われたらどんな気持ちになるだろう?
病気だとその人の側にいてはいけないのか、病気のままの私では向き合ってもらえないのか。
相手の発言が優しさから来るものだとわかっていたとしても、心穏やかではいられないかもしれません。

病を抱える人が自分の心の内側を大切なパートナーに伝えるということは、もしかしたら愛を伝えることにとても似ているのかもしれません。
自分のつらさを知ってもらうということは、それを共に背負ってもらうということでもあるのだから。
たとえ治らない病気や解決しない事柄であったとしても、共に生きたいと思う相手には、それらをまず伝えてみなければこれからの人生は始まらない。
とにかく『伝える』ということの大切さを学ばせてもらえる映画でした。
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