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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りのbackpackerのレビュー・感想・評価

4.0
2023年上半期の「こういうのでいいんだよ」映画。

ダンジョンズ&ドラゴンズ(以下「D&D」)プレイ経験なし、過去に製作されたD&D映画を観た経験もなし。なんの背景も知識もない身ですが、どんなもんかと観に行ってみると……
ヤベェ!超面白いじゃん!!

やることなすことがイチイチもっともらしい……というと語弊がありますが、事象の相互の関係性の妙、ソレがああなるとコウなる連鎖の美、ある種の理路整然とした筋道、そこがイイ!
置かれた環境(例:ドラゴンに追われ閉じ込められた洞窟)においては、ポータルを開ける魔法の杖も役に立たない(視界に入っているところにしか繋げられないから)とか、なるほど理屈だ。剣と魔法のファンタジー世界だからって、なんら枷がないわけじゃない。それは粗悪な大量生産なろう系で満腹です。
その点流石はD&D、現代式Sword and Sorceryの源流として基盤を創り出した存在だけあって、そう簡単にご都合無法地帯にはなりませんね。

また、登場人物それぞれの描かれ方も、テンプレっぽくしながら、実は全く古臭くない現代的な関係性としていて、とても好感が持てます。代表はエドガンとホルガのゴールデンコンビなわけですが、弱気な魔術死ぬサイモン、トリックスターのドリック、バカ真面目聖騎士ゼンクのキャラクター性も、なんともにくい。
悪役サイドでは、やはりフォージ。ヒュー・グラントのノリノリ演技もあってこれ以上ないハマり役でしたし、暗黒の魔女ソフィーナとの利用しあう関係性もグッド。

話の構造的には、あっち行ってこっち行ってのお使い系ではあるものの、飽きさせない細かな手数が上手く効いているので、ホントにちょうどいい塩梅。
個人的には、このレベルの作品にしては、ちょっと長いなと思いましたので、100分程度に収めてくれたらなおよかったですね。とはいえ、あんまり削れるシーンもなかったので、やっぱり現状で十分「こういうので良いんだよ」ですね。
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