YACCO

男はつらいよ お帰り 寅さんのYACCOのレビュー・感想・評価

4.0
久しぶりの試写会にて鑑賞。
試写会といえどもほとんどが私よりもかなり年上と思われる人たちに囲まれての鑑賞。あちらこちらから心の声が駄々洩れでなんだか少し笑ってしまった。

渥美清さん亡き今、どうやって寅さんを締めくくるのかと思ったが、結果としてとても良いフィナーレだったと思うし、心温まる良い映画だった。
ただ、この映画を寅さんを知らない世代の人たちが見て、寅さんを見てきた世代の人たちと同じものを得られるのかは別の話のような気もするが、この映画は新たな寅さんファンを掘り起こすためではなく、往年のファンたちに捧げる映画なのだと思うので、恐らくそれでいいのだろう。
そういう私も、寅さんは物心ついた頃テレビで流れる映画をなんとなく見ていた程度だし、今作で改めて(ダイジェストとはいえ)寅さんの姿を見ると、寅さんの言動が心に沁みて、なんだかもう一度きちんと見てみたいなと思った。
恐らくだけれど、若かりし頃の自分が見ても寅さんの魅力、あの映画の魅力には今ほど気づけないのではなかろうか。私もそれだけ人生の年月を重ねたのだなとこの映画を見ながらしみじみとしてしまった。でも、それはどこか温かく心地よい感情で、これがわかる大人になった自分に我ながらほっこりした。

寅さんをしのんで、寅さんに今一度会いたい人が集う映画で今作は良いのだと思う。
そこに、何か愚問を呈するのはなんだか粋じゃない。そんな気がする。

最後に、今作では主題歌を桑田圭祐が歌っているのだが、それも良い。
お約束のオープニングの夢のあと、桑田圭祐が歌う主題歌の最後のほうで重なり現れる寅さんの姿を見て、往年のファンは何を思うのだろうか。
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