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男はつらいよ お帰り 寅さんのTAMUのレビュー・感想・評価

3.5
思い起こせば、自分が小学校に入ったくらいから正月の我が家の行事の1つとして、「男はつらいよ」を見に行ってた。

自分が小学校の高学年くらいになると、母と姉は行かず、親父と2人で行ってた気がする。

親父は大概映画見ながら寝てしまい、いびきがうるさい。帰りに「寝てたでしょ?」となじると、「寅さんは多少寝ても全然問題ない。大体話はいつも一緒だから分かってる」と笑って、では毎回行くのは何故なのかと疑問を持って育ったw

今から思うと、我が家なりのコンプライアンス教育の一環だったのかもしれない。。

自分も寅さんと変わらない歳になり、親父も寅さんも旅立ってしまった今。
何やら親父にも見せたい気がして行ってみた本作。

現代の満男ととらやファミリーが思い出す記憶が柱なり、特に過去の名場面は4K?で再現され、過去作を子供の頃に見たせいか、懐かしくてそのまま過去作に浸りたくなる。

あー、あのリリーのメロン事件。自分の頭の中では、リリーが「今のは寅ちゃんが悪いよ!」と言うところまでが名場面なんだがな、とあやふやな記憶を辿ったり。

御前様(笠智衆)、タコ社長、歴代おいちゃん、おばちゃん(三崎千恵子)、みんな逝ってしまったなぁと寂しくなったり。

過去作を並べると、やっぱり吉永小百合の美しさはずば抜けてる、と感心したり。

一方で、現在の描写に関しては、山田洋次監督の頭の中の柴又が、過去以上に今では存在しないファンタジーぶりにドン引きしてしまったり。

ここに来て、何の脈絡もなく出川さん出したり、立川志らく出したり、いらんなあと思ったり。

欲を言うなら、現代社会に寅さんがいてくれたら、冗談交じりに、どんな言葉を残してくれたか。正直、今の世の中を優しく包み込むより、叱って欲しい。本来、そんな厳しい側面もあった映画だったはず。そんな映画だったら、良かったのにな。
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