湯浅政明監督の作品で断片的に描かれてきた"愛"や"海"が全面的に押し出された作品。
大切な人を亡くした喪失感とどう向き合い、立ち直るのかを波や火などに例えて表現した湯浅監督独特の画はいつもより抑えめではあるものの、健在。
メインキャストも川栄李奈はじめ片寄涼太、松本穂香、伊藤健太郎と俳優さんだが、違和感を覚えない上手さであった。
ストーリーも観る前はラブラブすぎるのかなとか思ったわけですが、それよりも失ってそこからどうするかというメッセージの強さを随所に感じ、愛の深さを感じた(ラストの港のメッセージは上手かったとは思う)。
ただ、そんな褒めれるポイントを一気に崩す要素がある。それが主題歌だ。GENERATIONSの「Brand New Story」が見事に合わない。中条あやみと菅田将暉かの如く2人で歌ったり、人生の中にこの曲がたくさんあったり、死んだ港を呼び出す条件としてもこれを歌わなきゃならず、この映画で何回流れ、死ぬほどイントロを聞かされたか。これが我々でも馴染み深い曲ならまだしも、この新曲のごり押しはやめてくれ…の一言だし、この映画を一気に駄作へと持ち込むきっかけにすらなってしまっている。
あと、湯浅監督のバカッターの嫌いさを印象づける場面や洋子(松本穂香)と山葵(伊藤健太郎)の関係性は必要なのかと物語自体にもツッコミが生まれてくる作品でもあった。
それに湯浅監督に求めてる要素は本作ではあまり発揮していない。そう思うと待機作の映像研や犬王はむちゃくちゃ楽しみではあるけど。
物語的に嫌いではないからこの点にするけど、今回挙げたダメ要素を加味すると2.5点ぐらいと考えてくれてもいい。残念な点が大きすぎる映画だった。
あと、湯浅監督は「シェイプ・オブ・ウォーター」を意識はしたのだろうか？オムライスとコーヒーを欲したくなる1作であった。
