horahuki

ゴーストマスターのhorahukiのレビュー・感想・評価

ゴーストマスター(2018年製作の映画)
3.7
狂気の壁ドン!

後光が射すほどにキラッキラな少女漫画系ラブコメが、トビーフーパーリスペクトなグチャドロホラー映画に侵食されていくコメディスプラッター。そんでコピーにも書かれてる通り、『カメ止め』系な撮影の裏側を舞台とした映画愛溢れる尖りまくった力作!

壁ドンってなんなん?キュンキュンってなんなん?とか言って壁ドン道をひとり邁進する主演俳優さんの本気度には惚れ惚れだし、あまりの高さにどうやってそこに壁ドンしたん?とか思っちゃうけど、本気の思いがあればきっと身長も伸びたりするんでしょ。すげぇな!そこから編み出す最強で最狂な壁ドンには笑いが止まらんかった🤣

そんで最高なのは、トビーフーパーリスペクトを公言してる主人公の助監督が『悪魔のいけにえ』ではなく『スペースバンパイア』を激推ししてるとこ。フーパーの名前出てきた時に、あぁまた悪いけオマージュか…っていう喜びと落胆がまぜまぜになった気持ちになったんだけど、『スペースバンパイア』のこと力説し始めたもんだから、めちゃテンション上がった!マチルダメイならぬ町田メイ!サイコーかよ!

『死霊のはらわた』はタイトル自体も言及されるんだけど、分厚い本スタートで異界化したり、歩く手首出てきたりとオマージュ満載。『鉄男』なのかクローネンバーグなのかわかんないけど、人体と機械の融合とか、『エイリアン』のフェイスハガーを思わせるような寄生方法とか、焼肉メニュー版『耳なし芳一』とか、ジャミラとか、セルフスローモーションとか、とにかく見てて楽しい!力説してた『スペースバンパイア』はほぼそのまんまだし(笑)

基本的には、映画を完成させるというクレしんの『夕陽のカスカベボーイズ』的な物語なのですが、映画の中に出てくることのない裏方としての辛い現実と行きつく未来までも見せつけ、それでいてなお映画に命をかけようとするかっこ良さが提示する本気の映画愛が凄く良い。「自分」ではなく、個人を超えたところにある映画への貢献というか。だからこそツギハギなんだし、それが映画なんだなって。嘘を本当にする輪入道さんとか、レジェンドだしマジで(映画にとっての)先生だわ!

そんでカメラなんて邪魔だと言わんばかりに、俳優だけにとどまらずカメラの向こう側にはこれだけの人が本気で映画を作っているんだという現実をカメラという垣根をぶち壊して観客にダイレクトにぶつけようとする攻撃的な力強さに感服。

最後ら辺はやりたいこと重視しすぎて、ちょっと冗長に感じましたが、そこが本作の一番のメッセージなんだろうし、私的にはアリ!というか映画プロデューサーがトビーフーパー知らんとかマジなん?見たことないならまだしも名前すら知らないとかビックリしたわ…😱
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