愛鳥家ハチ

オオカミの家の愛鳥家ハチのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.5
本作はチリに実在したカルト団体コロニア・ディグニダが作製した架空のプロパガンダ映画の形式を取っており、コロニア・ディグニダという共同体を離れては生きてはいけないことを観る者に知らしめようとしてきます。コロニア・ディグニダの論理に従った寓話、すなわち教訓的な内容を表わしたたとえ話という設定です。

しかしてその描き方は、殺人、拷問、虐待、暴行が組織的に行われていたコロニア・ディグニダの異常性が充満したものでした。歪な心象風景を具現化したかのような奇怪で異様な映像に仕上げることで、コロニア・ディグニダの残虐な所業を糾弾する意図があるのでしょう。丹精込めて作られたハンドメイドの悪夢を見せられた感じがします。表層の意識においてはさしてショックは受けなかったのですが、本作を観た夜に悪夢で目が覚めました。深層心理が本作の纏う狂気か瘴気か毒気にあてられたのかもしれません。
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