140字プロレス鶴見辰吾ジラ

FOR REAL-遠い、クライマックス。-の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

3.6
【1勝という厚み】

珍しく友人に誘われての映画鑑賞。
私は今年から野球熱が再燃しました。
推しのチームはありませんが、ハマスタには電車で20分足らずの立地に住んでいます。会社から帰るときにはユニフォームを着たファンと電車が同じになります。その程度でした。ただ今年は野球を観に行こうとハマスタに足を運び、そのファンの応援の熱さと厚みにやられてすっかり野球熱が戻ってきました。

今年はセ・リーグの終盤のクライマックスシリーズ争いに一喜一憂しました。ベイスターズは進出できるかいなか…  

本塁打王は丸?ソト?

そして巨人若手の明るいニュースである岡本和真の最年少3割30本100打点達成かいなか… 

岡本和真は見事その大記録を達成しました。しかしそれと同時にベイスターズのクライマックスシリーズ進出は絶たれました。

ある者への希望
ある者への絶望

スポーツは動物的弱肉強食であります。ある一定の能力を超えた個体を集めて競わせるシミュレーションに過ぎないと思いつつ、その応援の1つ1つのエネルギーが届くと信じて止まない相反する何かがつきまとう娯楽でもあるのです。

私は管理職として働いて分かりました。健康体で健全に聖人として結果を出し続ける精神的エグさを。

ドキュメンタリーとしてナレーションも拙いですし、編集も微妙ですし、ドラムの鼻につく意識度合いもマイナスですが、選手1人1人には感情があり、肉体は脆く、そしてどうしようもなく人間なのです。

結果を出し続けられない苦悩やそれをマネジメントできなかった監督の苦悩。怪我という人間らしく人間ならではのバグ、そして感情の浮き沈み。

来年は野球を本格的に見ます。

私自身が足掻く仕事という不条理に向き合うために。本作から感じたのは苦悩も不条理もすべて世界を彩る物語であること。だからこそ必死で身を削る者たちと一緒に戦うという物語論の一部を自分に乗せることで勇気が与えられるから。