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ブラインドスポッティングのYYamadaのレビュー・感想・評価

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)
3.7
【ブロマンス映画のススメ】
~恋愛ではない男性同士の熱い関係

◆本作が示す「ブロマンス」:
 異なる人種ながら、幼馴染みとして
 対等に接する友人、後見人。
◆作品のジャンル:
 ブラック・コメディ、社会風刺

〈見処〉
①オバマ元大統領も絶賛!!
 社会問題を組み込むブラックコメディ
・『ブラインドスポッティング』は、2018年公開のコメディ映画。
・舞台は犯罪発生率の高い危険なエリア、カリフォルニア州オークランド。自身の暴行事件に対する保護観察期間が残り3日間となった黒人青年コリン(ダヴィード・ディグス)と、問題児の白人青年マイルズ(ファエル・カザル)は、同じ引っ越し業者で肉体労働に従事する、幼なじみの親友同士。
・ある日、コリンは黒人男性が白人警官に追われ、背後から撃たれる場面を目撃。この件をきっかけに、コリンとマイルズは互いのアイデンティティ地元の変化などの現実を突きつけられる。
・あと3日を切り抜ければ晴れて自由の身となるコリンだったが、マイルズの予期せぬ行動がコリンを脅かし、2人の間の見えない壁が浮き彫りになっていく…(eiga.comより抜粋)。
・本作は教育者・舞台脚本家と幅広く活躍する白人俳優ラファエル・カザルと、ラッパー兼俳優ダヴィード・ディグスが脚本も務め、オークランドで生まれ育った親友同士の2人の青年の姿を通し、ポップな作風のなかに、人種問題やコミュニティの変化、貧困の問題も取り入れる意欲作である。
・オバマ元大統領による、2018年公開作品ベスト10選出も納得の作品である。

②「盲点」とは何か?
・「Blindspotting」は「自分からは見えない視点」=「盲点」を差す。
・作中では、ただの壺の影絵をよく見ると2人の顔が向かい合っている「ルビンの壺」というトリックアートが登場。「人間は2つの見方を同時にすることが出来ない」ことを比喩している。
・黒人の視点では「同じ暴力事件を起こしても逮捕されるのは黒人のみ」「黒人は無抵抗でも、白人警官の銃口は向く」「黒人は少しの失敗も命取りになる」…人種間の不条理から、黒人のコリンが抱えていた恐怖を理解していなかった白人のマイルズ。
・また、白人の視点では「黒人と同様に育ちながらも、ニガー仲間と認知されない」「高級化が進み、白人セレブ層が地域進出、白人間の社会格差が露呈」…白人貧困層の孤立を感じ、マイルズが地域環境の変化に苛立つ認識がなかった黒人のコリン。
・本作は、同じ環境で育ち、友人関係でありながら「価値観」は全く異なっていた2人に、新しい視点が生まれることを描いた作品である。

③結び…本作の見処は?
○:「黒人の立場」を説く映画作品は多いが「白人貧困層の立場」を描く作品は、新鮮である。白人警官にも救いがある作品。
○: 終盤の黒人青年コリンによる魂のラップは見事。
○: 無理にサスペンス調にせず、現実的なストーリーとなっている点が良い。
▲: 白人青年マイルズの行動には共感出来ない。容姿も「加藤浩次」にしか見えない。
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