佐方和仁

ジョジョ・ラビットの佐方和仁のネタバレレビュー・内容・結末

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

終盤でドイツ国内が、ジョジョが住んでいる街が戦禍になるシーン、今現在のガザ地区で起きていることがオーバーラップする。子供たちが爆撃に晒され、爆弾を抱えて敵兵に突っ込んでいく。フィクションではなくそれは現実にイスラエルとパレスチナのあいだで起きていることだ。

普段だったら信じられない冗談みたいなことが戦争になると本当に起こってそれがまかり通ってしまうのだろう。コメディーと狂気が紙一重のところで描かれている。
エルサがジョジョの頭の中を描きそこがユダヤ人の住処よと示したように、フィクションも現実も表裏一体のものなのだと思う。

エンドロールでリルケの詩が映し出されていた。

Let everything happen to you
すべてを経験せよ
Beauty and terror
美も恐怖も
Just keep going
生き続けよ
No feeling is fainal
絶望が最後ではない
-Rainar Maria Rilke
R・M・リルケ

イスラエルにもパレスチナにもこの詩を読んだ人がいるのだろうか?

この詩を読んだとき、ランボーの、ある理性に、という詩のタイトルを思い出した。絶望だけでなく、愛もそれが最後ではないと言っているような気がした、その先を示されたような気がした。

追記
なんか硬い感想になってしまった。愛や笑いやダンスでもって描かれるのがこの映画のいいところ、好きなところなのに。ジョジョのことも映画を見てて好きになっていった。
佐方和仁

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