ゼロ

スウィング・キッズのゼロのレビュー・感想・評価

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)
4.1
一戦交えようじゃないか、タップダンスで!

少年少女の青春タップダンスストーリー!とは言えないくらいに、戦争が全面に出ていました。劇中のタップダンスは良く、音楽と映像のシンクロがあって気持ちよい。反面、舞台が朝鮮戦争下の捕虜収容所を舞台にしているのもあり、アメリカと捕虜の確執があり、後半ではイデオロギーの対立により、殺し合いを行う。

前半と後半で、落差が激しい映画も珍しい。前半は、かつてブロードウェイのタップダンサーだった米軍下士官のジャクソンがタップダンスチームを作るべく、オーディションを開催!4か国語が話せる無認可の通訳士ヤン・パンネ、生き別れた妻を捜すために有名になることを望むカン・ビョンサム、ダンスの才能を持ちながら1分以上踊れない栄養失調の中国人兵士シャオパンと国籍も年齢も性別も能力もバラバラな人間がチームとなり、踊る姿はエネルギーがあり良かった。

中盤から戦争であることを意識し、アメリカ兵を殺しにかかる。殺したら仕返しをするのが世の常で、お互いが対立していく。元々、捕虜収容所であるため、ひと時の夢であったのかもしれないが、楽しそうにしていたのに、血みどろな世界に変わっていくことに。

終盤はクリスマスは、『スウィング・キッズ』としてタップダンスを披露!そのお披露目も、それぞれの思惑があり、踊って、さあ、終わりではなかった。でも、最後のタップダンスは、人々を惹きつける力があった。

イデオロギーとか、戦争とか、その無意味さを痛感させられながらも、戦争×タップダンスをエンタメ作品として昇華させた素晴らしい作品でした。
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