nero

野性の呼び声のneroのレビュー・感想・評価

野性の呼び声(2020年製作の映画)
3.5
猫より犬派としてはやはり押さえておくべきだよね。原作は、映画にアニメにコミックにと何度も映像化されたジャック・ロンドンの名作動物小説。石川球太版が好きだった。
21世紀に観るしばらくぶりの最新版は、ついに動物の出番さえ必要無くなっていた。アクターによるモーションキャプチャーをベースとしているというCG犬は、筋肉・骨格の動きを感じる部分ではさすがにところどころ違和感はあるものの、毛並みの表現は素晴らしいし、重量感・力感も十分。雪と氷などの自然描写ではCG技術の成熟に舌を巻く。期待よりずっと見応えあった。

ストーリーでは、バックの虐待部分がかなり端折ってあるためもあって、バックと人間との距離が冒頭から終わりまでずっと近いまま。そして、やっぱりあの過剰な表情やコミカルな演技はやりすぎだろう。ディズニーの動物ギャグアニメっぽくなってしまっているうえ、野生(狼)と人間のあいだで葛藤するバックの描写が足りないので、冷徹な自然や本能の覚醒の厳しさがいまひとつ伝わってこなかった。
それでも今回はハリソン・フォードも演技抑えめで、映画としてのバランスは決して悪くない。個人的に”もっと”動物寄りの映画が観たかったと思っているだけ。

近年の動物映画では「ホワイトゴッド」が強く印象に残っているが、あのような実際に多くの動物を使っての映画制作はこれからは難しいのかもしれないねえ。
ともあれここまでできるのなら、同じロンドン原作の「ホワイトファング」もぜひリメイクしてほしい。やっぱりこの2本はセットでしょ。
nero

nero