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童年往事 時の流れのKKMXのレビュー・感想・評価

童年往事 時の流れ(1985年製作の映画)
3.7
 初ホウ・シャオシェン。本作は特に評価が高く、自分のタイムラインでも高評価な作品です。鑑賞したところ、確かに完成度の高い映画でした。対象から距離を取って感情を抑制した演出ながら、郷愁や生きる悲しさが伝わってきました。


 移民としての両親と祖母の悲しみがなんとも切なかったです。母親は父親とともに、主人公のアハが生まれてすぐに大陸から祖母を伴って台湾に移住。その後すぐに父は発病し、母親は異国の地で看病をずっと続けなければならなかった。
 この両親は初めからなんとなくシケた感じで、幸せオーラゼロだったため、「あ〜暗い家族ヤダヤダ」と思って観ていましたが、そりゃ暗くなるわ!アハの両親、特に母親はハードな宿命を背負いながらも必死で生きて、後半で家族への想いが判明するというニクい演出も冴えてました。なので、序盤に感じたヤダ味など忘れて、結局はグッと来るという。

 同時にアハがヤンキーっぽくなるのもなんとなく理解できる。あの家庭に居続けるのは思春期男子としてシンドいわなぁ。アハがプチヤンキーになるも大きく道を外さなかったのも、家族の愛があったからでしょうね。
 ラストの祖母のくだりは、シャオシェン監督の罪悪感が伝わってきました。愛してくれたおばあちゃんに想いを返したかったのかなぁと感じます。
 死は生の対極ではなく、その一部であるということが伝わる展開は非常に荘厳で厳粛な気持ちになりました。


 と、かなり肯定的に感想書いてますが、実のところ自分にはあんまり刺さらなかったんですよね。理由は長尺で観ていて飽きてしまったから。淡々と進む感じで2時間20分はしんどい。もっとバチっと凝縮して、1時間40分くらいでバーンと作って欲しかったです。
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