ウィリアムキャッスルもびっくり『あなたの選択が物語を左右する』
ドラマシリーズブラックミラーの派生作品である本作は、選択肢がドンドン出てきて、観賞者がゲーム感覚で物語を進めていくという、インタラクティブ作品。
しかもゲームオーバーや無限ループまで存在し、ユーザーによっては結末も変わってくる。
ROMAの作品賞問題と、何かと映画界に因縁が深い、Netflixがまたまた、『映画』のパンドラの箱を開けてしまった。
もうここまで来たら、映画でもなんでもない、ただの実験コンテンツかと思われた。しかし、野次馬感覚で最初の数十分やってたら、これがとんでもなくおもしろい。
それにダメな選択をあるバリエーションで選んでいくと、裏ルートまで存在し、ゲーマーのツボもしっかり押さえている。
確かにじっくりと観賞できない厄介な作品に変わりないですが、これは誰もが夢にまで見た、主人公との意思疎通が可能になった作品なんです。
なんせ、「俺を操ってるお前は誰だ!」の問いに対し「Netflixでウォッチしてるぜ」と返せる。 他にもどう決断すべきか、直接、問われたりなども。
そう、本作は極限までメタ構造を高めた革新的な表現方法と言える。
映画というより、今までにない究極のメタ体験に衝撃を受けた。
ゲームプログラマーのお話なので、コンテンツとテーマ性が必然的に結びついてはいる。
が、人間誰もが『神の意志』による操り人形と、びっくり仰天のマインドコントロールホラー、そしてドキュメンタリー要素まで孕んでくる。
そして、終わり方はヤバくて最高。
この作品は、ギミックの天才ウィリアムキャッスル監督の現代アップデート版とも言える。
ウィリアムキャッスルといえば、『ティングラー』で客席に電流を流し、『13ゴースト』で赤青のメガネを配布し、赤レンズからは、幽霊が見えるギミック。
挙句に『ミスターサルドニクス』では観客の多数決で結末を決めるという、仕掛けまで用意した。
キャッスルが夢にまで思った完璧な観客参加映画が本作で実現したのです。
この作品が今後映画界にどう影響するか?は、特に影響はしないが、バンダースナッチの衝撃は記憶に残り続ける。