B5版

ボーダー 二つの世界のB5版のレビュー・感想・評価

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)
3.1
生まれつき人と違う持ち物を持つ主人公。
彼女は社会に馴染めず常に計り知れない孤独を持つ。
主人公はある日出会った不思議な匂いを持つにヴォーレという青年に、出生の秘密を明かされる。

居心地が悪い映画だ…
鑑賞者の心に巣食う偏見・価値観を見切った上でどう思ったよ?とこちらに笑いかけながら牙を剥いてくる。

水辺で育てられた陸生物のように、常に息苦しい世界から抜け出し身も心も許せる初めての存在と二人生き生きと自然に包まれている主人公。
彼女にとって人生初めての、素晴らしい心地を描いたシーンなのに、あえて虫食などグロテスクな生態としてまざまざ描くところは此方の倫理観を値踏みされているようだ。生理的な嫌悪の範疇にわざと手を突っ込む映像、尊さを描いたものへの率直な自分自身の負の感想に嫌悪を抱かせる、嫌な作り。

普通の人間夫婦が起こした醜悪な過ち、人とは異なる生き物が下した行動。
人間と怪物、普通と異常、美と醜、あらゆる2つの概念に横たわるボーダーをみて、何を美しいと思い、何をおぞましいと思ったか、色んな人の意見を聞きたい映画。
B5版

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