マンボー

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイのマンボーのレビュー・感想・評価

4.0
ガンダムを劇場で観たのは、中学生のときに友人とF91を観に行って以来なのに、まるで昨日のことのように思えるから記憶とは不思議なもの。

それはともかく本作。三部作の一作目はこう作るのだというお手本のようなテクニカルでよくできた作品だった。

さらに、メカニカルな作品だということを踏まえた演出も、オールドファンには新鮮で、かつても時代を先取りしたスタイリッシュさをいくらか感じていたけれど、それにしても、えらくカッコよくなってしまったなぁと(笑)

ガンダムが初めてブームになった頃は、おそらく小学校に上がる前で、小学校低学年の頃に初めて父親に連れられて行った映画館で、観たのはアニメばかりの東映マンガまつり風のアニメばかり十作前後、一作15分から30分で、次々にかかる方式の作品で、そのうちどこをどう切り取ったのかすっかり思い出せない30分のファーストガンダムの一編が一番よく分からず退屈だったのに、小学校も高学年になると、角川スニーカー文庫のガンダムやZガンダム、ΖΖガンダムを少し背伸びをしながら読むようになって、ちょうどその頃、「閃光のハサウェイ」が発売されていたと思う。

ただ周りの知人たちには、ガンダムを小説で読む人はほとんどおらず、アニメやゲームに登場していたΖΖガンダムあたりまでは、よく話題にのぼっても、「閃光のハサウェイ」を語る友人が全くいなかったこともあって、自分も本作の小説を今日まで手に取ってこなかった。

本作の映画を観て、逆襲のシャア以来の熱が少し戻った感がある。なにせ第一作なので、ガンダム独特の群像劇的な面白みはまだ見出しがたいけれど、導入の周到さ、主人公、ヒロイン、敵役(かたきやく)のクセのあるキャラクター造形もさすがで、さらに市街戦の演出は見事で、想像を超えたデキだった。

ただすでに、この先どう転んでも、ハサウェイ側の思惑通りには事が運びそうもない形勢が見て取れて、この展開をどう持っていくのかを考えると、かなり不安な気持ちになるが、とりあえずここはじっくりと腰を据えて次作を待ちたいと思う。

もうストーリーは描かれていて、大筋は変えられないのかもしれないけれど、どうなるにせよ、こちらの期待を超えるような作品となることを、30年越しにガンダムが動くスクリーンに見入った懐かしさと映像の新鮮さに捉われつつも願ってやまない。