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ハミングバード・プロジェクト 0.001 秒の男たちのminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

従兄弟同士の関係である株のトレーダーとプログラマーは、処理速度が勝敗を左右する株の高頻度取引を優位に進めるべく、カンザス州のデータセンターからニューヨーク証券取引所までの約1,600キロを光回線のケーブルで繋ぐ計画を思いつく。しかし、彼らはケーブル間の住人たちへの買収交渉や工事トラブル、かつての上司の妨害工作など様々な問題に直面して......という話。

「ソーシャルネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグが主演で、コンピュータを駆使した株売買の業界の話なので情報戦みたいなものを全面に押し出す映画なのかと想像していたのだが、実際は物理的なケーブルを地下に一直線に通す工事の苦難を描いた作品だった。
そういったハイテク技術がものを言う世界でアナログな手法で活路を見いだそうとするユニークな発想は面白かった。プロジェクトX的な楽しみ方のできる作品。
ただ、序盤でアイデアが掲示されたあとは地道な工事のシーンとプログラマーがアルゴリズムを詰める場面がひたすら続き、苦難を解決するのも割と普通の方法を用いるので新鮮味は無かった。プログラマーの天才性は随所で見られたものの、結果的にはプロジェクトも失敗に終わるのでモヤモヤが残った。映画として成立させるために終盤はウェットな話になっているのは仕方ないのかもしれない。主人公二人と執念深い元上司のキャラクターは良かった。

株の高頻度取引の仕組みのことはほとんど触れられていないが、むしろ全く気にしないで「速ければ儲けに繋がる」と割りきって考えて観たほうが楽しめるのかも。
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