Same

劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明のSameのレビュー・感想・評価

3.3
作者のド変態ぶりが存分に発揮され、ペドフィリアで凌辱趣味、欠損嗜好など原作作家さんの本領発揮といった感じでした。これを一般公開した勇気は称賛したい。PG15でも生ぬるかったよ笑

きっとこうなるだろうなあと思ってはいたけど、個人的にはこの方向の舵取りは全く求めてはいなかったので、子供に拷問や手術を繰り返すストーリーは、普段ホラー映画ばかり見ていてグロ慣れしていても気持ちのいい描写ではなく、もっと直接的でなく示唆する演出にとどめ、心の交流の方に時間を割いて欲しかったです。
大筋のストーリーはとてもとても良いので、この変態嗜好どうにかならんかほんとに。
作者の加虐性癖が透けて見えすぎてるんだよ。

ホラー映画のショックシーンやグロ描写はもちろんそれこそが大事な要素なんですが、ストーリーとの割合で度を超えてグロばかり見せられると、ただの性癖披露になっちゃうんですよねー。そこを覗き見したい訳じゃない。お話を楽しみたい。

ストーリーは原作4巻、5巻にあたる部分で、ナナチとミーティをあんな姿にした張本人、黎明卿ことボンドルドとの直接対決が描かれます。キーキャラクターはボンドルドの娘プルシュカ。
やはり連載モノの宿命ですが、一本の映画の中にストーリーの起伏がたくさんあり、上がったり下がったりを繰り返すので、最後に向けての盛り上がりに欠けます。また若干駆け足で説明不足に感じるシーンも散見されました。
映像的には劇場サイズを意識した画面作りは成功しており、テレビ版の総集編である前2作より断然劇場で見るに値する映像になっていました。

ボンドルドとリコ、共に憧れが止められない状態にあるのは同じなんですよね。ボンドルドの場合は知的好奇心や未知の世界を見るために払う、他人の犠牲や苦痛に対して全く共感が無いだけで。ちゃんと愛しているし可愛がっている。だから怖い笑

テーマとしては、家族、愛と痛みなんだろうか。
愛とは、誰かと分り合うことは痛みを伴うもので、、とかそんな高尚なことより子供をいたぶりたかったという趣味の方が前に出過ぎてるのがちょっと興醒める原因になったかな。この性癖のような加虐趣味なんかより、もっともっとド変態ながら痛みについての考察が芸術にまで昇華した『マーターズ』はやはり偉大だったな笑

ボンドルドとプルシュカという利用するものと利用されるものの親子関係という設定は良かったと思う。ボンドルドとナナチの擬親子のような関係も、それを乗り越えるお話も悪くなかったです。

以下ネタバレ
















いくつか気になった点
プルシュカがかわいそうすぎるド変態ストーリーはいいのですが、手術シーンなどよりプルシュカとリコの心の交流にもっともっと時間を割くべきでした。そうしないと、カートリッジになって、最後白笛を生み出したり、自分の冒険への夢を昨日今日会ったばかりのリコに託すことに説得力が生まれません。

カートリッジに使う子供は成れ果てになってしまった子たちの方が良いのでは?笑
ミーティみたいな子たちは不死身だし、永遠に痛みを感じ続けるわけで、もっと長く使える良いカートリッジになるんじゃないのか。

一本の映画として見て、リコが空気になりすぎています。レグ、ナナチ、プルシュカの物語で、リコが主人公としてほとんど機能していないため、最後に託される白笛も違和感がある。

この一般公開しづらい原作をしっかり映像化したスタッフは称賛に値すると同時に、原作は原作、映像作品は映像作品としての割り切りは必要だと思いました。いらないところは削り一本の作品として描くべきところはもっと描く。
やはり見終わった満足感が足りないのはその辺だと思います。
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