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燃えよ剣のYACCOのレビュー・感想・評価

燃えよ剣(2021年製作の映画)
3.5
原作を読んだ時、「新選組副長土方歳三」という最期の言葉とその姿に、それまでの土方歳三の生き方に痺れたものだった。
それの映画化と聞いて期待と不安の両方を抱いて映画を鑑賞。
やはり、「燃えよ剣」のダイジェストになってしまっていることは否めなく。
あの痺れるような土方歳三の姿を拝むことはできなかったように思う。
なので、ラストシーンの「新選組副長土方歳三」という言葉も原作を読んだ時ほど心には響かなかったものの、ラストシーンおよび最後の台詞を「新選組副長土方歳三」にしてくれたことは嬉しかった。
それに、原作のダイジェスト版といったものの、見せ場となるシーンはしっかりとみせてくれたし、殺陣のシーンは力強く、新選組の面々が斬りあう姿は迫力があったし、「芹沢鴨暗殺」も「池田屋事件」もこれまで何度となく見てきたシーンではあるものの、既視感を感じることもなく、迫力のあるシーンのひとつひとつに息を飲んだ。それでも、148分という長尺であることを考えると仕方がないとも思える。
岡田君の土方はさすがの殺陣ではあるものの、自分としてはいささか土方歳三という男にしては真っ当すぎるというか、正統派すぎるというか。拭いきれない岡田君自身の人柄が出てしまっていたように思う。

今作を見て、今一度原作小説が読みたくなったので、もう一度手にとってみようと思った。
今作を見て、司馬遼太郎の「燃えよ剣」を読む人が増えてくれたなら、と思うのは原作ファンの驕りだろうか。
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