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ナショナル・シアター・ライヴ 2019 リア王のlololoのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

原作読んだことなく、この舞台だけを見ての感想は、「愚かな父親たちが招いた悲劇」だなぁ、と。
リア王は舌先三寸の娘二人に騙されて、高潔な愛に満ちたコーディーリアの心に気付けなかった。グロスター伯爵は、エドモンドを“いい思いをさせてくれた女の息子だから認知した”と言ってあからさまにエドモンドを小馬鹿にして、エドガーを贔屓し続けた。
その結果、リア王は娘二人に見捨てられたし、グロスター伯爵はどんどん破滅の道を進んでしまった。見るも無惨な姿になった二人を救ったのが、リア王に勘当されたコーディーリアと、グロスター伯爵に裏切り者だと勘違いされたエドガーだと言うのは切ない。この騒動の一番の被害者は、コーディーリアとエドガーだと思う…。

演技は、なんかもう全員「怪演」って感じで引き込まれた。

イアン・マッケラン、国王→狂人→父親というあらゆる顔をごく自然に演じて見せるものだから、「この人もしかして本当に狂ってしまっているんじゃ…?」みたいな気持ちになるのすごい。大雨(しかもその後かなり長い間舞台の床びしゃびしゃ)の中の演技とか、体力あるよな…。
以前NTliveで「誰もいない国」を見た時は、どちらかと言えば庶民の役だったと記憶しているので、そのオーラの違いもすごい。

それにしても、ルーク・トンプソンasエドガーの恵まれた体躯があまりにも見事で、ほぼ出番中は裸みたいなところあったけど、これで狂人の浮浪者は無理があるぞ!なんて思った(それくらい美しい体だった)。裸で雨に濡れて演技しっぱなしで「トムは寒いよ」がほんとに寒そうだった。

コーディーリアも、どんな時も凛とした態度で姿勢がシュッとしてて、ああこの人本当に心根が真っ直ぐすぎたんだろうな…と姿を見るたび胸が痛んだ。
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