140字プロレス鶴見辰吾ジラ

君と、徒然の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

君と、徒然(2019年製作の映画)
2.7
【ユマ・サーマン】

写真とモーションピクチャーの間を紡いだ、冷静と情熱の不確かで微睡む日常と影刺す虚構。

3つのショートエピソードを写真家である長谷川圭祐が記録する。写真家らしい一瞬の切り取りはエモく物を言うが、モーションピクチャーとしていささか限界も見える。ファーストエピソードの会話の少なさと対比、そして訪れた箱庭の危機にサヨナラヒットを告げる夜の静寂と少々の表情の緩みは見事。残りの2つのエピソードは日常を切り取るために描いた手段に対して、声優という虚構側で紡いでしまったことへの痛恨のアンバランス。セカンドエピソードに「キル・ビル」の名前を出してしまったことで、これが現実感と非現実感の揺らぎになってしまう。タランティーノがファションと西川氏も唄っていたモノだ。ラストカットが北野武の「dolls」的なようで死の影をチラ見せしたことでやはり下品よりに見えてしまうのが私の心。写真という過去と未来の間の切り取りという発想と百合への着想は好みだが、声優ラジオを聴いているときのこそばゆい背徳に似ていて映画性に乏しい。