140字プロレス鶴見辰吾ジラ

シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッションの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

4.0
【心がモッコリした】

2019年、令和の時代になっても心には“シティハンターの魂“を、そして遡った先の“荒野の魂“を。

冒頭の手術室のシーンから下品かつブラックな笑いとアクション。フランス流の立ち回りはあれど、これは「シティハンター」のTHE MOVIEであると高らかに宣言できるディテールと小ネタの機銃掃射。

サスペンス的な何かを手に入れる、情報を得るシーンの大胆なカットで空いた時間を有効にギャグとリョウ&カオリに割いて、その中でリョウとカオリの核の部分を描く大胆さ。実写化というリスクをまさかのカーチェイスにおける併走運動によるカオスwith生配信で描くあたり確実にガチでやり合おうとする姿勢が心地良い。

セックス&ロックンロールを体現するダンスシーンとその後の銃撃シーンの多幸感たるや…。そしてハードボイルドの内面やマグナムに纏わる時代の流れが「シェーン」の如く本音を吐くシーンで挿入される嬉しさ。

ギャグに偏らずある程度不格好なのは承知だが、イルヤ・ナイシュラーの「ハードコア」の如く主観ショットでのアクション演舞を加える貪欲さにも驚き。

クライマックスがギャグ落ちでなく一端シリアスに落とし込んで、精神性のハードボイルドを呼び戻すラストシーンショックからさらにギャグ、そして何よりTHE MOVIEであるところの核心に迫りつつ±0に引き戻す日常とあの名曲のカットインのキレ味で思わず涙…

フィリップ・ラショーよ、
何てヤツだ…

グッドシネマ!
とはこのためにある言葉だ。