140字プロレス鶴見辰吾ジラ

流転の地球/さまよえる地球の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

4.3
【アルマゲ丼】

冒頭から壮大な物語は「妖精ゴラス」によって省略され、テーマパークの如く「2012」から「2001年宇宙の旅」まで拝借した中国発の異常なレベルのSF映画へと加速する。推進エンジンはツッコミなど抑え付ける強大な共栄本能であり、ミニマルな家族の話から、まさかのコメディテイストより降り注ぐ無数の死の残骸。屍を超えていくのだ!ソウダイナ国家の威信は地球の威信に呼応して、木星が眼前に迫る中、荒唐無稽が火柱を天高く聳え立たせる。「運命よ!そこをどけ!」誰もが心に描く、いやその想像を超えて荒唐無稽が流転する。この先に100世代に渡る旅が始まるその途中を多くの犠牲を前にして、プロパガンダにしてはスケールを大きく、ヒューマンドラマとしてはご都合主義。しかし我々は共同体であると大声で叫ぶ彼らの旅路に拳を握り、涙を流し、どこまでもどこまでも見送り、そして旅を共にしようぞ!流転の地球が行く末を刻みつけるのだ!セリフの呼応と韻の踏み方に人肌の温もりを感じながら、この巨大な絵巻に抑え付けられた衝動は剥き出しとなった。