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浅田家!のyukkyのレビュー・感想・評価

浅田家!(2020年製作の映画)
3.8
◾︎一言
「ただの写真」

◾︎選んだ理由
写真がテーマの映画だったから。

◾︎こんな人にオススメ
家族ものの映画が好きな人
泣ける映画が好きな人

◾︎感想
▪︎ストーリー
「でもただの君の家族写真でしょ」

きっと多くの人の"写真との出会い"は、家族写真からなのではないだろうか。
生まれた瞬間の猿みたいな写真、運動会で全速力でしかめっつらの写真、卒業式に校門で笑う親の横で照れてむすっとした顔の写真。
0秒を切り取る写真の中には、その時の時間が、確かに流れている。

私が写真を好きになったきっかけは、思い出す限りだと祖父だ。
両親が共働きの私は、学校から帰るといつも祖父母の家で友達と遊んでいた。
祖父はデジタルカメラやフィルムカメラを持っていて、友達が来るたびに庭で写真を撮って印刷して、手渡してくれた。

特別でない日常に写真を撮る喜びを教えてくれたのは、祖父だ。


「写真は時間旅行だ」

私の大好きな写真家の奥山由之さんが、トークショーの時にお話しされていた言葉で、とても印象に残っている。
奥山さんの深く美しい言葉選びをひたすら書き留めるのに必死で、その話の半分も理解しきれなかったが、これだけは一番覚えている言葉だ。

本作の後半で描かれている、震災のエピソードからは、
改めてこの言葉の意味を感じることができた。
写真という形に残った時間は、人と人、過去と現在を繋ぐ旅になる。


祖父は、先日他界した。祖父の訃報を聞き、
一番に思い出したのは、祖父が撮ってくれた、庭での写真のことだった。

今でこそ、スマホでいつでも綺麗な写真が撮れる素晴らしい時代だが、
昔は"いちいち"カメラのファインダーを覗いて、"わざわざ"写真を撮っていた。
おじいちゃんちの庭で、何人もの友達と、同じように写る、数々の平凡な写真。
その中には、写ってはいない祖父と私の薄っすらと思い出せる程度の、何気ないけれど楽しかった時間が流れていて、いつでもその時間を記憶の中で訪れることができる。


この映画を観て、今まで大して考えていなかったが、新しい家族が欲しいと思った。
自分のためにしか生きたことのない私は、これから誰かのために生きられるだろうか。

わたしはやっぱり、カメラのシャッターを切る音がすごく好きだし、大切な人を撮った写真は印刷して飾って置きたい。

好きなことを好きにやれと強く背中を押してくれる矢吹ジュンの母親は、私の母にとても重なり、この映画からも母の愛を受け取った。いつもありがとう。


(映画の感想ではなく自分の想いを語るレビューになってしまった。笑)

嬉しいことに、来月子供が産まれた友人家族の写真を撮らせていただくので、本当に楽しみだ。その前にこの映画観れてよかった。
今の自分には沁みる映画だったので、もっと写真について考えたい。

▪︎その他
ニノが強い。あと矢吹ジュン。

やっぱり脇役の静かな存在感の菅田くんが好きだ…
黒木華も良い。

浅田さんの写真集、じっくり見たい。

◾︎この映画を観た人にオススメ
・リメンバーミー

◾︎予告で気になった公開予定映画
・おらおらでひとりいぐも
・朝が来る
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