かつきよ

ラストナイト・イン・ソーホーのかつきよのレビュー・感想・評価

3.7
ついに見た!!

大変楽しみにしていたエドガーライト監督の最新作!!
まぁまぁ楽しかった。ホラーとしては全然怖くないです!サスペンスとしてはまあまあ。
夢見る田舎の少女が都会で揉まれる中、不思議な夢を見るようになって……。その夢は妄想なのか、過去に実際にあった出来事なのか……!?真相はいかに……!というストーリー。サスペンスとして、探偵ものとしては話運びがスマートじゃない。どちらかと言うと、心理的な錯綜の表現の方が強い。
脚本は全体的に細かい粗が目立って、若干の違和感が残るので、精緻さには欠ける印象。

ストーリーや脚本の完成度よりも、とにかく音楽や世界観、ファッションだったり、60年代のロンドンと現代のロンドンのコントラストを感じることに価値がある作品だと思います!エドガーライト監督の趣味とセンスに溢れた世界観に、ストーリーをくっつけた感じ。魅せたいのは脚本じゃなくて、世界観!
音楽の使い方、60年代のロンドンにこだわった世界観やストーリー構成に、熱量をググッと感じます。

ストーリーは(豪華すぎるけど)おまけ程度に考えるとちょうどいいのかも。ハッとするような映像的な迫力も健在で、映像作品としてはばっちり見応えがあって良かったです。

ストーリーとしては、かなり真面目路線。エドガーライト監督の脚本なら、真面目100%より、くだらなさとかギャグの中に、ひとつまみの真理や真面目さを詰め込んだような作品の方が見たいなぁ。

ベイビー・ドライバーとか、ソーホーは完全に、エドガーライト監督にしか出せないセンスを堪能する映画だったと感じました。


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デザイナーを夢見る田舎娘の都会デビュー

うまくいなかったけど、60年代のロンドンの夢を見るようになって、状況が好転し始める

この辺りまでの流れで、どこからサイコホラーになるのか全く想像がつかなかった。ファッショナブルな成功譚かなーと思ったけど、不思議な夢の内容が過激になっていって、中盤以降はかなりサイコホラーみが増してきて、なるほどなとは思いました。

主人公が本当に霊的なセンスがあるのか、それとも精神的に不安定なだけなのか、ちょっと読めない感じもあってラストに向けて展開が加速していってよかった。
一応映画的にはスッキリ終わるけど、途中の展開が引っ掛かりが多くて最後まで見てもちょっとだけもやもやしました。
爽快感とか、涙するような感動とかは特になかったです。

エリーもキャラクターとしては可愛くてすごく好きだし、容姿もかなり可愛いんだけど、サンディのビジュアルの迫力が圧倒的すぎて地味女子に見えてしまうのがすごい。
サンディ役のアニャさん、初めて拝見いたしましたが、目でかいし、本当にお人形みたいにばかかわいい。エリーが夢の虜になるのも無理はないなぁ





※以下ネタバレ感想




















ーーーーーーーーーーーーーネタバレ有り
















※ネタバレ有りです

















◆映画的にモヤモヤした点

●霊能力について

結局エリーは霊能力を生まれながらに持ってたってことなんだろうし、それであの部屋に囚われていたサンディの被害者の怨霊たちの影響で過去を見てしまっていたんだろうとはわかる。
でも、冒頭からそこそこ存在感を醸し出していたお母さん、キーパーソンかと思いきや物語にそんなに絡んでこないし、なくてもよかったくらいの存在感なのがモヤポイント。
最初鏡に向かってET〜ってやってたけど、ラストはサンディとET〜ってやってたのがよかった。

●刑事さん……

変態的なおじいちゃん、絶対悪い人じゃないし、犯人とか、ましてやジャックでもないんだろうなとは思ってた。途中サンディが出会った警察っぽいハンサムなお兄さんが正体なんじゃないかっていうのも、映画慣れしてる人ならわかるはず。
ミスリードは見えていたから、その先が欲しかったなとは思いました。
友情とか、共闘とか、感動とか……
おじいちゃんはおじいちゃんで言葉が足りなさすがるし、結局すれ違いで勘違いしたまま(エリーのせいで)事故死で終わりっていうのは荒すぎる。キャラクタを大切にしてほしいと思うし、あまりにも悲惨で心地良くないよ

●男の子は……

ヒーローポジの男の子、都合良すぎ〜
エリーは確かに可愛い!惹かれるのもわかる!ただ、盲目的すぎ〜そんなにエリーのこと好きな理由が微塵もわからない。

普段からちょっとイカれた雰囲気があって不思議な女の子に惹かれるのはわかる。
でも、一緒にベッドインしたら突然発狂して会話不能になるし、叫びはじめた理解……ガチ精神病じゃん。鏡割ってその鏡の破片で足まで怪我して、散々な目にあったけどまだエリーのこと好きなのは何故?
発狂癖は抜けることなく、最終的には同級生のことハサミで刺し殺そうとしてるし……。霊力があるにしろないにしろ、精神病と見分けがつかないくらい異常行動を繰り返すエリーにそれでも執着する理由が全然見えてこなくて、ただただ都合のいい役だなとしか。二人のラブロマンスは必要だったのか……
普通に、昔からの親友だからどんな状態でも協力してくれる〜っていうようなキャラ設定とかの方がまだ納得できた。

●夢の真相

ロンドンの街の華、夢と、その裏の闇と悪夢を映す刺激的な映像体験は無二だなと思えてとても良かったです。
ロンドンの闇に飲まれた哀れな少女サンディが殺されたっていう悲劇かと思いきや、ロンドンのクソチン●共をぶっ殺していった悪魔堕ちの真相はなかなかにパンチが効いててよかった。キーパーソンっぽかった大家さんがそのサンディ本人だったっていう展開も、とっても◎

ただ、そんな殺人繰り返してて全く捕まらなかったっていうのも若干の違和感はある。
死体は床下収納?してたっぽいけれど、腐敗臭とか虫がたかったりとかは……

●ラスト

おばサンディと若サンディのビジュアルが切り替わって、刃物片手にエリーを追いかけてくる描写がいい。ちょっとパーフェクトブルー思い出す。

被害者男性の亡霊が被害者ヅラしてサンディを殺せ殺せってエリーに語りかけるけど、お前ら加害者だからな!と思ってこの映画の落とし所ってどこ……って思ってしまった。断ったエリーは偉い。
部屋と一緒に燃えて焼け死ぬサンディの悲壮感。
彼女も夢に溺れて闇に喰われた大量のロンドン乙女の屍の一つになるのか。

●本当のラスト

ファッションショー開催ー!
明らかに精神的に狂ってたのに、それでもエリーを支えて、応援し続けた先生がいちばん好感度高い。
結局事件のこととかどう落ちたのか細かいことはわからないけど

総じて、いい映画でした。
かつきよ

かつきよ