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LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘のbackpackerのレビュー・感想・評価

LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘(2019年製作の映画)
4.0
劇場版LUPIN the 3rdシリーズ第3作

ルパン・プリクエル・スピンオフ4作目(アニメシリーズ含む)にして、2021年4月現在の最新作。
若かりしルパン・次元・五エ門・不二子・銭形警部と、主要キャラクターは作中にて出揃っていますが、ルパンと銭形警部には、未だスポットライトが当たっておりません。

〈精強無比のワンマンアーミー、向かう所敵なしの大泥棒ルパン〉と〈ルパンに匹敵する身体能力と冴え渡る勘によって、人生を賭けた執念の追跡をする名警部銭形〉の二人のどちらか、スピンオフという性質を加味して、銭形についての新作が作られると思っていた2017年頃。

そんな折、第3作の主役に選ばれたのは、アニメシリーズで過去を描いてきた峰不二子!
「まだメインになってないし、次作では、若かりし銭形がルパン逮捕に燃えるようになるまでを描くのかな?」と予想していたため、本作制作の報を知った当時は、意表をつかれた思いでした。


肝心の中身について。
ハードでシリアス(そしてどこかリアル)な物語は、本シリーズの魅力の一つです。
その点は本作もしっかり踏襲しております。
ルパンも次元も前作まで同様大変ハードボイルドで、実に渋い!
「若かりし頃のお話でありながらその調子では、いかんではないか!」というご意見もあるかと思われますが、シリーズ全体を通して、ヤンチャで無鉄砲な行動等、まだまだ完成されてない荒削りな面もしっかり描かれておりますので、個人的には不満なしです。

本作の主役は不二子ですので、そちらについても。
アニメシリーズで主役に立つことで、彼女の過去の探究は一定程度語っているわけですが、本作では、
・男を惑わすコケティッシュな美女
・近接格闘を容易にこなす身体能力
・利と打算により世を泳ぐ女の、情に脆い姿
という、多面的な不二子像が描かれております。

今までルパン作品が積み上げてきた歴史により、自然と抱かれていた〈コレが峰不二子〉というキャラクター像。
本作は、そんな峰不二子像に対し、本作の物語一つで、人間性の厚み深みが激増するかのような素晴らしさがありました。


さて、本作の劇中描写にて、「LUPIN the 3rdシリーズは完全な地続きの物語」ということが明白になり、〈プリクエルとしてのルパン映画という〉考えがより裏打ちされてきました。
2021年4月現在は、特段新作情報等見受けられませんが、まだまだ先が期待できるシリーズですので、是非続いて欲しいところです。
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