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ミッドサマーのBeSiのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
5.0
ディレクターズ・カット版も配信してくれるなんて。NETFLIXさんには感謝しかない。今作を見終わって気づいた。自身の映画人生史上最も強烈なホラー映画に出会ったしまった。「ヘレディタリー/継承」から1年。A24×アリ・アスター の描く新たな恐怖とは。クソ長いうえにネタバレもガッツリしてるので注意。今回は考察(公式サイトで見れます)はひとつの点に絞ってやってみようかな。以下絶賛&考察レビュー。


家族を無理心中で失くして以来、精神的疾患を抱える女子大生ダニーは友人の帰省の一環として、90年に1度の白夜の夏至祭="ミッドサマー"を見に行こうと周りに誘われ、ダニーを含めた5人でスウェーデンのホルガ村へと向かう。訪れたその場所は美しい花々が咲き乱れ、まさに楽園のような景色が広がっていた。しかし次第にダニーはホルガ村のコミューンに違和感を覚えていく。やがてそこでの体験は地獄と化していくのだった。彼らを待ち受ける衝撃的な運命とは?

祝祭が始まる____________。



✔️今作が世界から絶賛された2つの理由
①映画界のA24に対するイメージの投影
映画好きな皆さんなら"A24"と聞いてどんなイメージが湧くだろう。僕としては"前衛的な作品を作る"であったり"かなり挑戦的"であったり。しかし一般的なイメージとして一番色濃く鮮明なのは"幻想的な美しさ"だろう。「ムーンライト」が分かりやすい例だろうか。この作品こそA24を象徴していると言える。"美しさ"という点ではやはり観客に与える印象が最も強い。それは今作でも同じような事だ。そんな我々のA24に対する普遍的なイメージを投影したのが「ミッドサマー」だと推測する。

②監督によるプロット構成の秀逸さ
新 "あたおか映画監督" に名を上げた彼 (と思ってます) の勢いが止まる事はこの先到底無いだろうと確信を持たせてくれたのが今作であると感じる。不穏な空気が段々と目に見え始め、後半からは平常運転とでも言うような狂気の沙汰。前作を遥かに凌駕する地獄のようなプロット構成が繰り広げられる。観る者にこの上ないトラウマや不快感を植え付け、観た後に拭いきれない嫌な記憶を思い出させる。ホラー版「インセプション」みたいな。現時点でのアリ・アスターの描き出す狂気の極致を我々は体験しているのかもしれない。

✔️主題歌の意味
60年代の英国を代表したバンド "ウォーカー・ブラザーズ" の名曲 "太陽はもう輝かない"。題名から分かる通り、絶望的な印象を受ける。そしてその歌詞は、主要人物であるダニーとクリスチャンに合致する箇所がある。2人それぞれ違う歌詞に着目。

・ダニーの場合
Lonely without you, baby
(君がそばに居ないと)
Oh, I need you, I can't go on
(君の助けがないと もう耐えられないんだ)

君の助け
=ホルガ村のコミューンの人々の寄り添い
もう耐えられない
=トラウマを克服するのは難しい

・クリスチャンの場合
Emptiness is the place you're in
(君は空虚という居場所を見つけ)
Nothing to lose, but no more to win
(何も失わず 何も勝ち取らない)


=ダニー
空虚という場所
=美しい場所だがどこか虚しいホルガ村
何も失わず 何も勝ち取らない
=ダニーは結果的にコミューンと完全に同化したのでそれ以前に失った仲間も忘れてしまい、本当の心の拠り所を手にした

「オースティン・パワーズ」といいこの曲といい、アリのセンスは意味不明だ(褒め)




唐突に終わりますが、凄い長くなっちゃった。TL荒らしちゃってすいませんね。まあ今作について言えるのは、僕のベストムービーランキングに入っちゃったって事ですね。

ゾッとするほど美しく、本気で凄い映画。頭がブッ飛ぶ。アリ・アスターの現時点での最高傑作。これぞ真の"あたおか"映画です。ウィッカーマンもぜひ観たい。





\カップルで観るもんじゃないですよ〜/
BeSi

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