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ミッドサマーのneroのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.5
アリ・アスター監督作品は初めて。北欧系不条理伝奇ホラー・・・といってもいいんかな? 単純にホラーとも捉えきれない、なんともヘビーな後味を残す映画だった。

精霊信仰、生と死の輪廻、呪術的秩序を背景に、恐怖とも異なる異形の文化習俗感が全編に満ちていた。乏しい知識だが、サーミ文化をベースにしたと思われるその世界観はどこか懐かしさも覚える。奏でられる音楽もヨイク風だ。70年代のヒッピーコミューンを思わせる描写ともあいまって、そのカルト宗教色によるものか、なぜか「異星の客」を思い出したり・・・ そう、恍惚の中で昇天するクリスチャンは、ヴァレンタイン・マイケル・スミスの逆相とも言えるのかもしれない。
白夜ゆえ、どこまでも明るい光に満ち緑豊かに開けた空間で繰り広げられる”異界の”祝祭から目が離せなかった。夜より恐ろしい昼、闇より逃れたい光というものがあるのだね。映像の美しさの裏に垣間見える精神の闇に冷たい汗が流れる。全てから開放された最後のダニーの微笑みが心底怖い。

本筋とはまったく無関係に印象に残ったのはカメラ。さすがスウェーデン、自然回帰系コミューンでも記念撮影はハッセルブラッドというのが流石!
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