komo

ミッション:8ミニッツのkomoのレビュー・感想・評価

ミッション:8ミニッツ(2011年製作の映画)
4.4
陸軍大尉のスティーブンス(ジェイク・ギレンホール)が目を覚ますと、見知らぬ女性と共に列車に乗っていた。そのうえ自身の名前や姿が別人のものとなっている。戸惑っているうちに、なんと乗っている列車が爆発してしまう。
その後スティーブンスは夢から醒めたように別の空間にいた。無機質な場所で、目前のモニターに映し出された人物から『列車の爆発はすでに起こってしまったテロ事件。犯人の素性と次の犯行現場を探ってほしい』と告げられる。
スティーブンスは特殊な装置により、爆発8分前の乗客の脳内にアクセスしていたのだった。



とても好みな作品でした!
『メメント』のような時間を重視した演出や、『アバウト・タイム』のように同じシチュエーションを繰り返す作品がお好みの方にかなりおすすめです。

奇抜な設定に冒頭では『???』となりますが、状況を飲み込んでしまえばそこからかなり面白くなります。
特殊な装置の被験者として、赤の他人の脳内に送り込まれるスティーブンス。
その男でいられるタイムリミットは列車爆発までの8分間で、爆発したらまた無機質なカプセルに戻る。そしてまた爆破8分前の世界に送り込まれる。その繰り返しです。

紛れもなく過去の光景を見ているわけなのですが、『あの日あの時あの場所にタイムスリップする』というよりも、『あの日あの時あの場所にあったものをリプレイする』と言った方が正しいようです。
そしてスティーブンスが行動することによって違う歴史が生まれたとしても、それによって過去の歴史が変わるわけではなく、それとは別の『パラレルワールド』として存在することになります。
列車内にいる犯人が誰なのか割り出すことはできたとしても、『列車爆発テロが起こった』という過去は変えられないという仕組み。
当初はわけもわからないまま混乱していたスティーブンスが、列車の中の乗客を救いたいと思い始めた頃にこの事実がわかるという仕打ちです。
それでも乗客たちや目の前の女性を救いたいと強く思うスティーブンスは、犯人を見つけることに成功した後、再び爆破8分前の世界に行くことを熱望し……。

SF的な設定と脚本がよく練られていて面白いのと同時に、『人生のタイムリミットが残り8分だったら人は何をするか』というテーマも描かれ、人間ドラマとしても上質でした。
ラストチャレンジの時の乗客たちの最後の表情、良すぎでしょ…!!
そのシーンを観て、この映画に出会えてよかったと心から思えました。
たった93分の作品でここまで濃いものが観られるとは、大満足です!
komo

komo