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TENET テネットのYACCOのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.5
クリストファー・ノーラン監督の新作ということで、迷わずIMAXにて鑑賞。
一度ですべてを理解できたとは思えず、鑑賞途中でこれはもう一回みた方がいいのかなという考えが脳裏に浮かぶ。
しかしながら、この映画のすごいところが全く理解できないわけではなくて、そこそこ理解でき、映像と合わせて楽しむことができることだ。
IMAXの大きな画面でもすべてを見ることができたとは思えないほどの画面からの情報量、時間軸や人が錯綜するストーリーと見ている側も脳をフル活用しながらみるにも関わらず、150分という長い尺もあっという間に過ぎていったし、最後の最後まで楽しめた。
これが、一度見ても全く理解できないというならば、難解だが映像のすごい映画で終わるのだろうが、そうではなくて、なんとなくだけれど理解できた気がするので、見ている側も楽しめる。しかしながら、何かを見落としているような、あるいは果たしてあそこはこういうことだったのだろうか、といった疑問が頭をよぎる。そして、もう一度見たくなるというループが起こるのだ。
冒頭のオペラハウスのテロ事件から見ている方を惹きこみ(クリストファー・ノーランの作品にはこういったオープニングがよく見られるように思う)、気づくと物語の核心たるものの背が見えてきて、そのままその背を追うかの如く、見ている側もスクリーンに惹きこまれてしまうのだ。
見終えてみると登場人物はとても限られているし、彼らに対する丁寧な説明もない。
ジョン・デビット・ワシントンが演じる名もなき男。彼に協力するロバート・パティンソン演じるニール。(ロバート・パティンソンはこういう役も似合うようになった)彼らは何者なのかも物語の終盤までほとんど語られない。さらに、彼らが今回敵対するケネス・ブラナー演じるアンドレイ・セイターの不気味さ。そしてなぜ彼がこのような行動をとるのか、などなど。見ている我々が情報を補完していくべきところも多いにも関わらず物語はすすんでいく。
見ている側への画面からの情報量の多さとは裏腹に、見ている側に考えさせる物語や登場人物が、我々をこの映画に惹きつけるのかもしれない。
もちろん、一体どうやって撮影したのだと見ている側を驚かせる映像の多くもこの映画の見所のひとつだと思う。そして、それを楽しむにはぜひ映画館にてこの映画を楽しむことをおススメする。
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