およそ一年ぶりの映画館での映画鑑賞。そしてこの一年ぶりを「TENET テネット」にして良かったと心の底から思った。突如として発生したテロ事件での大量虐殺を阻止した特殊部隊に所属する名も無き男は、謎のキーワード"TENET"を巡るミッションに巻き込まれていく。...いやぁ面白い。何だこれは。以前「インセプション」のレビューで"二度観るべき傑作"と言ったが、今作を観た事で、クリストファー・ノーラン監督の作る映画は"二度観る"事が大前提にあると確信する事になった。信条、主義、を意味する言葉"TENET"。監督は我々を未知なる体験へ誘うとともに、"望む未来を導き出すために無知を武器にして行動を起こす"あるいは"起こった事は仕方ないと考える"という2つの思想は、矛盾しているように見えて、私達が生きるうえで希望となる価値観であり、ある種の信条や主義である事を示してくれる。そしてノーラン史上最も難解な今作はまたも世界を驚かせる事になるだろう。絶対に映画館で観るべきクリストファー・ノーランの新境地を描く傑作。本当に素晴らしい。
