ラウぺ

パラサイト 半地下の家族のラウぺのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.1
全員失業中の半地下で暮らす一家。あるとき長男が友人から裕福な一家の家庭教師を替わってくれと頼まれたことから一家の寄生活動が始まった・・・

物凄く大雑把に言って、全体の印象は『サバービコン 仮面を被った街』に近い感じでしょうか。
物語の展開は予告にあるとおり、長男が英語の家庭教師に入ってから次に妹が美術の家庭教師に入り・・・と、ある意味で予想通りの展開を見せます。
なんだ、割と普通のストーリーじゃないか、濃い目の味付けに胃がもたれそうな、その先の展開がそろそろ心配になり出す頃に予想外の展開を見せます。
冒頭の部分以外はネタバレしてくれるなとの監督のメッセージもあり、具体的には何も触れませんが、スイッチが入ってからの怒涛の展開はこの映画がいったいどういうカテゴリーに属するのかも判然としない、振れ幅の大きなもので、最後まで目を離せません。

貧困にあえぐ一家と裕福な一家のコントラストは鮮明で、そこに格差のもたらす悲喜劇というメッセージ性を見出すのは簡単なのですが、驚きの展開を迎える後半部分についても、監督の立ち位置は非常に明確で、この闇鍋のような映画に一本のスジを通すことで、一見メチャクチャに見えるカオスの中でも観客を最後まで落伍させることなく連れて行ってくれるのだと思いました。
カンヌ国際映画祭でのパルムドール、ゴールデングローブ賞での外国語映画賞、おそらくこの先も続く受賞ラッシュはこの作品が単なるゴチャゴチャしただけのクライム・コメディではない、ということの証明となるのではないでしょうか。

小難しいことはともかく、その圧倒的なオリジナリティ溢れるこの作品に安心して浸って頂ければと思います。
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