伏見の剛力

パラサイト 半地下の家族の伏見の剛力のレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.9
韓国映画はバッドジーニアス以来ですか。
普段韓国映画も邦画も進んで観ないのですが唯一るろうに剣心は観に行く予定です。

そんな中でTwitterやフィルマークスでも公開前の昨年から寒さを吹き飛ばすほどの熱い前評判が溢れていて金でも貰ったんか?と疑いたくなるほどの大盛況っぷりにカメラを止めるな!を思い出しました。

カメ止めの時も疑いまくりましたがTOHOシネマズの席の埋まり方が尋常じゃなかったので誇張されたように感じる前評判に弱い私も疑心暗鬼がより効いたのか当時大変満足して帰った記憶があります。

パラサイトも公開してから4日後の朝一に前日に予約して行きましたがおばさんおじさんの多さよ!
ネットには疎い層にも届くほどの盛況ぶりなのかそんな偏見は古く高齢者がネットを当たり前に使う時代がもうすぐそこまで来てるのかはたまた偶然なのかいやいやいや公開から4日後の朝一でこんなに埋まるんですね。

似てると言われている万引き家族は未視聴なのでパラサイトのあらすじを見るからに太陽がいっぱいのリメイク、マットデイモンのリプリー的な感じかと予想するも全然違いましたね。

例えるならハングオーバーからジョーカーまでの振り幅が凄いトッドフィリップス監督の最新作ハングオーバー4が途中から95%の人が笑えないシーンがある感じですか。
いつの間にかブラックコメディ寄りにシフトする展開にあれ?ハングオーバーの続編なのに?作品の世界観履き違えてない?と戸惑いつつだんだん前のめりになり夢中になってしまう自分がいるようないないような。


よくパラサイトの感想で金持ち一家に失業中の貧乏家族が甘い汁を吸う中での富裕層の貧困層に対する希薄な心情や絶対的な貧富の差の対比や台詞などの風刺の効いたメッセージが語られています。

もちろん私もそのメッセージを幾分読み取りましたがそもそも主人公の失業中の家族がなぜ失業中なのか説明して欲しいほど仕事が出来る万能家族なので最後まであまりこの家族に貧乏を感じられませんでした。

英語教師や運転手や美術教師や家政婦を難なくこなす主人公の家族の姿に貧乏の文字は見えません。
しかし半地下自宅のシーンになるとゴキブリやコオロギが這っていたり内職によるピザ屋の箱が幾重にも重なっていたり自宅外のWi-Fiを必死に探したりと環境は貧乏そのものでした。
ですのでもう少し主人公の家族一人一人に欠点や成り上がりの精神を垣間見れたら貧富の差が映えたと思います。

逆にこのパラサイトの凄いところは主人公家族に貧乏を感じずらかった私でさえ楽しめる貧富の差を抜きにしても通用する秀逸な脚本であることです。

一番印象的なのは半地下自宅周辺が大変なことになりてんやわんやの時に主人公の妹が諦めたのかトイレの上の天井から煙草を取り出し便座の蓋に腰掛け一服するシーンです。
なぜかここのシーンだけ万能家族から唯一貧乏家族が感じられ「これが人生‥」という妹の心の声が聞こえたような気がしました。
伏見の剛力

伏見の剛力