このレビューはネタバレを含みます
初めはなんかキムさん達とパクさん達の暮らしとか生き方とか考えたの違いに
単純にたくさん笑った。
それで騙されるんかい!とか
そこ気にしないんかい!とか
詐欺がうまくいく過程が面白かった。
でも、最後の方にはその違いで笑えなくなっていた。
苦しささえ覚えた。
それぞれの中の当たり前なこと、ふとした発言、価値観。
「私も金持ちだったらもっと優しい」とチュンスクは言う。
「奥様は純粋で優しい方だ」とキムは言う。
優雅にソファの上で抱き合うパク夫妻の横を、以前家政婦を首にする為に練習していた感情を下におしこらえる様に這いつくばる姿が息苦しかった。
パクさん達は純粋に、単純に、自分達の為に生きていた。
それはキムさん達も変わらず。
同じく、あの家政婦さん達も。
最後のシーン。
ナイフを持って背後に立つ血塗れの男に、誕生日パーティーに浮かれる彼らは気付かない。
ぐさり、
と刺さるナイフは痛々しいと言う感情よりも先に、何だか心臓を雑巾みたいに絞られた感覚になった。
ギヴがダヘに
誕生日パーティーではしゃぐ彼らを見ながら「僕はあそこに似合うか」と聞いたのを思い出した。
最後、キムがナイフをパクの胸へ刺したのは、あの言葉達があったから。
言葉はナイフになりえるとよく言うけど、それが返ってしまったのか。
誰にどんな言葉が刺さるか分からない。
いつどう聞いているかも、
なにを抱えて生きているのかも。
ああ。
苦しい時間だった。
苦しかった。